バケツガバマンの2





まさか自殺の度に私達が止めたり治したりしなければならないのですか?
と、今回の騒動で一番忙しく働いたムウは疲れを見せながらアイオロスを静かに責める。
そんなに暇じゃ無いし治療に小宇宙や気力や体力、そして金もかかる、何よりあんな姿になった仲間を見たく無い、と。

意味が違うと云うのならばちゃんと伝わる様話し合えば良い、と至極真っ当な事を言い垂れ夜中まで治療を手伝っていたアフロディーテとデスマスクはムウを伴い診療所を出て行った。

一方、アイオロスは治療室に戻りベッドに横たわるシュラを見ながらデスマスクの台詞にあった『シュラはアンタの云う事なら何でも聞く。』の意味を頭の中で吟味していた。

 確かに昔からアイオロスの言葉にシュラは素直に応じていた。

言い出したら人の話を聞かない事も (此度の騒動の原因な過度の謝罪についても) あったが概ねアイオロスの言葉は今も絶対の様である。

『…何でも聞く、か…。』






「シュラ、起きて。
起きて私の云う事を聞いてくれないか?」
「……はい、」

大量出血し先程までバラバラだった四肢で正座し、まるで死刑を宣告されるのを待っているかの様な悲愴な佇まいになるシュラをアイオロスは改めて隅から隅まで観察する。
値踏みする様に、舐める様に。

『昔から色白だったが今は血が足りないんだろうな、血管が透けて見えるぞ。』
『目を瞑ると睫毛が長いのが良く判るな。
眉毛も形良く整えられている。アフロディーテ辺りが身嗜みに煩そうだからかな?』

「……、」

『しかし体毛が薄い。と云うか無いな。
ムダ毛まで処理しているのか?すね毛どころか胸毛も、乳首周りにも毛が無い?のか??』

「……あの、アイオロス…?」

『プラスチックみたいな肌だな。つるつるでピカピカしてて女、みたいだ。
私やアイオリアのふさふさでガチガチな身体とまるで違う様に見える。』

「アイオロス、何か…?」

暫く何も云わずに己を見詰めるアイオロスに不安を感じてシュラは目を開き呼び掛ける。
横腹と首周りを斬って血を吐いた為か声がいつもよりハスキーさを増していて、その声にアイオロスは妄想を実行に移す決意をした。

「シュラ、未だ私に償いたいと云うのならばやって貰いたい事がある。」
「…、はい、」
「死ぬ事でも聖域から追放される事でも無い。
が、それよりも辛い事かもしれない。
それでも私がそれを望んでいるとなればシュラ、お前はそれを成し遂げてくれるか?」
「はい、」
「私が満足するまで、だぞ?」
「はい、それが贖罪になり貴方に少しでも恩返しが出来るならば。」

罪滅ぼしが出来るのならば、とは云わない辺り赦されるつもりは無い、と言外に伝えるシュラの言葉にアイオロスは一つ頷くと、久々の輝く様な笑顔で命令をひとつ出した。

「私の目の前でオナニーして見せて。」

「……………、」
「あ、只のオナニーじゃ無いぞ?
お尻の穴も使ったアナニーだ!!」
「……………アイオロス?」
「まさか出来ません。なんて云わないよな?
私はそれを望んでいるのだから。
そしてそれを見れば満足するぞ?」

さあシュラ!と力強く促されるがハイそうですか、とアナニーなんて出来る筈が無い。
真顔で正座のまま固まってしまったシュラにアイオロスは根気良くアナニーを見せる様に求める。

「もしかしてシュラはアナニーを知らないのか?
ならば仕方が無い、」

やっと折れたか、と少し安堵するもつかの間、今度は直腸洗浄をして見せろと命令される。

シュラは『これはもしかして新手の嫌がらせなのだろうか、』と考えた所で、『嫌がらせでは無く、こうした恥辱を与える事でアイオロスは溜飲を下げる事が出来るのであろうか?』とも考える。





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