やおいの3
浴槽には浅く湯が張られており、座るアイオリアの胸にシュラは頭を預けて仰向けに浮かんでいた。
『昨夜は『このまま、』死なせてくれ、と、言ったのに…。
死なせてくれるのかと、思ったのに…』
シュラはいつの日か、アイオリアに殺される事が断罪になるのだと、女神の聖闘士らしかぬ事を日頃から夢想していた。
昨夜は折角そのチャンスが来たのだと秘かに喜んでいたのに。
結果は只痛いだけのセックスであった。
何度も身体中噛み付かれ、肛門は慣らす事無く挿入れられ容赦無く擦られ、脳味噌と内臓を揺さぶり続けられ、結果入り口の粘膜は切れた様だ。
吐き気と下腹の鈍痛に混じって時折訪れる鋭い痛みは直腸も傷付いた為かもしれない。
だがアイオリアを全ての物から全力で守ろうと、アイオリアには何をされても笑っていようと、シュラはあの時から、アイオロスを討ち聖域に帰還した時から決心したのだ。
そのアイオリアが珍しい物でも見た様にこちらを凝視するのでどうしたのかと思っていると顔が近付き、舌が伸びて来て瞳を舐められ、これには流石に変な声が出てしまった。
「ぃひッ!?」
身を捩ると湯が波立ち、思わず逃げようとするとアイオリアは両の手でしっかりとシュラの頭を抱え片方づつ瞳を舐めている。
「な、な、なんだ!? アイオリア!」
「………」
ばしゃばしゃと足で湯を蹴るがアイオリアは舌も手も離さなず一心不乱に舐めている。
暫くすると満足したのか瞳から舌を離したのでシュラがほっとひと安心するが今度は目蓋ごと噛み付かれ痛みにまた叫ぶ。
「な!ん、アイオ、あーーッッッ!!!!」
アイオリアは目蓋を噛みながらこのまま瞳も噛み砕けば葡萄の味がするのだろうか、と物騒な事を思った。
このまま噛み砕けばこの葡萄は自分を見ても兄を見る事はなくなるのだろうか、と。
ありがちなやおい話・<了>
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