痴漢電車22時





 金曜日の日本の東京・しかも都心部の私鉄線内で22時を回った頃。
カミュとシュラは向かい合ったまま密着し身動きが取れない状況に遭って居た。

「むぅ…聞きしに勝る状況だなマジで(小声)」
「…ミロは何処だ?(小声)」
「貴方の左後方ドア袋付近で泣いている。
髪の毛が挟まったのかな?(小声)」

 先日の日本語漫画ブームのお陰で、聖域の聖闘士達の八割は日本語の読み書きをマスターした。

しかしヒアリングはてんで駄目な訳で、中にはシュラに日本語が聞けるAVかゲームを送れと言いだす者まで出て来る始末に。
それに対して『自分で買え』とシュラが返答した為不満が募り、遂に自身が日本に乗り込む者まで出て来てしまった。

それがミロであり+保護者のカミュであった。

二人は日本語をマスターし、女神の身辺警護の基本も覚えれば聖闘士達は更に世界平和に一役買えるんでね?! と云う大義名分の下にシュラの元に転がり込んで来た。

 まずは日本文化を勉強せねば、と1日東京観光を堪能し一杯ひっかけ良い気分になった所で仕事上がりのシュラに迎えに来させ合流し、これから城戸邸に向かうべく日本名物なサラリーマン達の帰宅ラッシュな満員電車に乗る事となり、今に至る。

「だから車で迎えに行くと行っただろうが!!(小声)」
「私は未だ死ぬ訳にはいかんのだ!
明日は氷河三昧の予定で「ミロを押し付けるなよ!?
アイツも連れて行けよ!」
「それでは師弟水入らずにならないのだ!!
私はもう2週間と3日も氷河に会っていないのに…!」

さめざめと当て付けがましくシュラの胸の中で泣き始めるカミュに周りの視線が集まり、日本に大分感化されて来たシュラは居たたまれなくなり始める。

すると右尻に違和感を感じ、ジャパニーズスリか!? と意識をそちらに向けると

「シュラ…何か尻辺りを誰かに触られている感じがするのだが…。(小声)」

驚く事にカミュも同じ違和感を口にするのでシュラは小声でスリ注意を呼び掛ける。

しかし

「ん、何だか…シベリア東部の『世界最北のハッテン場』でおしくらまんじゅうDAYに参加した時を思い出す…(湿った熱い小声)」

と、頼みもしないのに当時の思い出を語り始めた。

「『八畳程の部屋に雄が全裸で30人程ぎっしり入ってくんずほずれずな大乱交』を思い出されるひしめき度&身体中をまさぐられ度!
イイっ!! 特に乳首への執着が素晴らしいぞ!ナイス愛撫!!」

「ちょ、ちょっと待て!!頼むから小声になれ!!(小声)」

興奮し、身悶えするカミュを胸に抱きながらシュラも自身の尻をまさぐる手がスリなのか痴漢なのか未だ区別が付かず困惑する。

大体、痴漢と云う行為は女性に対する不埒で卑劣な行為であり、美人で人目に付くカミュはともかく、男にしか見えない自分まで何故!? と思い、パニックに陥っていた。







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