託されの2





 先程の秘蔵アイテムといい、アイオロスに対して何となく変態疑惑を持ち始めた頃、今度は壁に隠し扉を見付けてしまった。

「……どうする?」
「開けるしか無いな…。矢がまたこっち狙ってるし…。」

ひそひそと相談していると紫龍の云う通り射手座の聖衣がこちらに矢をつがえて向いているのが見えて、脅されているかの様に扉を開く。

蝋燭の灯りに照らされた室内は四畳程の書庫であった。

一見マトモに見えてほっと一息付いていると紫龍が一つのファイルを開いてしまったらしく

「う…!!」

と呻くと固まってしまったので仕方なしに皆で見る事になってしまった。

「子供…の写真だね…。」
「しかしこの啣えてるモノは…、」
「チンボコ?」

先程の氷河の男性器表記講義に照らし合わせると、写真のブツは立派な逸物でチンボコと称して良いモノであった。
それを自分達より幼い黒髪の少年が小さな唇で一生懸命啣え、上目遣いでこちらを見上げる様な仕草の写真が何枚もファイリングされていて、思わず全員生唾を飲み込んでしまった。

「……他のは…、」

何となく判るが一応、と開いてみたファイルも、被写体は違えども立派なチンボコに跨る金髪の美少年や、異物を挿入され喘ぐ姿が艶めかしい赤い髪の少年等、そんなエロ画像ばかりであった。

とりあえず初めに手に取ったファイルの表紙を見ると『シュラ・フェラ顔A』とあり、星矢は開いたファイルをそっと元に戻す事しか出来なかった。

地上に戻ると火時計の射手座の部分も火が消えかけていたので走って宮を飛び出す事にした。
途中背後で矢が壁に次々と刺さる音が聞こえた気がするが無視して走っている内に何時の間にか次の磨羯宮も越えていた。

誰も居なかったのかと拍子抜けしたのもつかの間、大地が裂けドヤ顔の黒髪の男が登場した。

皆その顔に
『…さっきのフェラ顔Aファイルの人…?』
と、思ったが云うと面倒臭くなりそうだし、後は紫龍に任せてとっとと先へと進むのであった。






 そして年月はやや流れ―。
サガの乱や海王との戦いの後、聖域に再びの驚異が迫っていた。
死んだ筈の造反組が蘇り、女神の命を狙い12宮を襲撃して来たのだ。
その謀事は途中で潰え、捕まった者達は女神の命で神殿へと連行される。

アイオリアは闘いの後、少しだけ冷めた頭だが複雑な想いを持ちながらシュラを担いで居た。

「リア…、アイオロスは…、」
「!! 云うな!!」

過去にこうしてシュラの肩を担いだ時の事を思い出してその時の甘酸っぱい気持ちを思い出していたと云うのに(エピG八巻参照)兄の名を出され思わず遮って拒否してしまった。

何故ここで、2人で歩いているのに兄の名を出すのか!!
リアが一人憤っているとシュラは懲りずにまた兄の名を出す。

「聞いてくれ、リア。ロスは…、」
「聞かぬ!黙れ!!」

目が見えなくなったシュラはそれでもリアに目を合わせ様と身じろぐ。

場所は折しも人馬宮で謎の隠し扉の前であった。

「…?こんな所に扉なんてあったか?て、云うか誰だ!兄さんの遺書の上にちんこの落書きしやがったのは!」

リアの独り言にシュラの肩が跳ねる。








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