託され放題90





 聖域第九の宮・射手座の人馬宮にて星矢はエライ目に遭っていた。

「もうちょっとで危なく心臓を射ぬかれる所だったぜ…!」

突如現れた射手座聖衣から放たれた矢は何故か星矢の左脇に突き刺さり、一見・星矢の心臓を狙い打ったのかと思う程ギリギリの所を射ぬいていた。
その壁からまばゆい光が溢れ出し壁は一気に崩れ去る。

「な…何だこれは!!」
「壁の亀裂の下からなにかが出てきたぞ!」

割と元気そうに後からやって来た氷河も合流して、皆で崩れた壁から出て来たアイオロスの遺書に泣きながら読み上げたり円陣組んだり、老師から聞いたちょっと泣けるイイ話で感動したりしながらモチベーションを高めて次の宮へと向かうべく星矢達は走り出した。

すると何時の間に・と云うか、誰が戻したのか、射手座の矢は聖衣に戻ってまたしても走る星矢達へと放たれる。

「うぉっ!?」
「氷河ッ!?」

二本目の矢は氷河の股間に深々と刺さったかの様に見えたが矢張りスレスレの壁に刺さっていた。

「…フゥ!もうちょっとで危なくちんこを射ぬかれる所だったぜ…!
イヤ、むしろ俺のはちんぽ?ちんぼかな…?」
「何ソレ?呼称に違いがあるの?」

瞬の疑問に氷河は先程の感動的なロスの遺書に上書きする様に解り易く呼称の違いを書き始めた。

「いいか、最も小さな逸物の呼称が、@おちんちん→出世して子供サイズが、Aちんこ→少し経験を積んだモノが、Bちんぼ→そして色艶大きさ共に申し分無いブツを、Cチンボコ!と、偉大なる我が師が「アレ、ここにも何かギリシャ語が書いてあるよ?」

自分で話題を振っておきながら氷河が面倒くさくなった瞬は次の遺書?を読む様に星矢に促す。

「…えと、ここを訪れし少年達よ、秘蔵アイテムも託す↓」
「秘蔵アイテム?秘密兵器みたいな?」
「聖闘士が武器を使ってはルール違反だろう。大体何だ?↓て。」

下に向いた矢印をしげしげと見ていると、床にめり込んだ取っ手を星矢は見つけ掘り起こして一気に引き上げてみるとそれは隠し扉であった。



「な、何かドキドキするな…!」

宮に飾られていた蝋燭を拝借し、地下へと続く階段を降りてゆくとそこはアダルトショップだった。

「………。」

所狭しと並べられたバイブやディルド、ローターの数々や拘束具に各種コスプレ衣装。

興味深気に見て回る瞬と氷河を引き摺って地上に戻ると先程の感動のシーンは無かったかの様に無言で次の宮へと今度こそ向かう。

しかしまたもや射手座の矢に歩みは止められてしまった。

「またかよ!!」

思わず本音を叫ぶと今度は瞬の尻目がけて矢は放たれていた。

「今度は何託されたの僕達…。」

至極面倒臭気に瞬が確かめると「(略)君らにこれらの処分も託す…ずっと→→」

「文章略してんじゃん!大して大事なモノでも無いじゃん!!」

いい加減時間も無いし三度に渡る足止めにイラ立った星矢がキレながらも矢印の方向を探す。

「しかも『ずっと→→』ならこの場所で僕の尻を狙わなくても良いよね…」








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