ビンビンの3
シュラが産まれた地は山間の田舎で大人の娯楽等無いに等しい所で、セックスが唯一の娯楽だったのか子供だけは多かった。
そんなコミュニティで育ったせいかシュラは孤児院育ちであったが他の子達と同様に割合大人びていて、四歳で聖域に来た頃既にセックスの意味を知っていた程だった。
(しかし聖域では男色気風が流行しており、男同士でも同じ段取りなのか解らなくて実践はしていなかったので周囲には無垢な子だと暫く思われて居たシュラであった。)
そしてそんな見た目無垢な子が、ボロボロになりながらも掠めるだけとは云え、一世一代の覚悟でキスをしたと云うのに覚えていない、と大人になってからアイオロスは後述した。
もしかして助けてくれた事も覚えていないのだろうか?後日のフェラ奉仕の事は覚えていたのに、と、些か傷ついたシュラであったが無理も無いとも思う。
それ位アイオロスはモテていたのだ。
今でもモテるであろうが、あの頃はとっかえひっかえ自分を慕う少年達をヤっていたのではなかろうか。
いや、今のロスを見るとヤッていたに違いない。
そう思うと段々萎えて来て尻穴は解れたのに前は萎えしぼんでしまった。
「ど、どうしたんだシュラ!? 」
紅潮していた身体も汗も激情も冷め、すっかりいつもの無表情に戻ってしまい、アイオロスのビンビンになってスタンバイしている人馬竿を冷たく一瞥するとベッドを降りて風呂場へとシュラは向かってしまった。
「…本当に、今日は何なんだ…。」
暫し放心していたがロスは慌てて後を追い掛ける。
が、ご丁寧にも鍵をかけられた風呂場の扉を前に為す術無く立ち尽くすのであった。
山羊座の聖衣と黄金の官位を承り、憧れの英雄の隣の宮の守護者に成ると云う栄誉に打ち震えていると、射手座の英雄は慣れた手付きで宮の奥へとシュラをエスコートしてくれる。
この頃既にロスのモノを啣える事を覚えていたシュラは、その日も聖衣を着けたままだと云うのに彼に跪き、舐めしゃぶりロスを満足させた。
しかし、あれだけ献身していたつもりでも彼にとって自分はフェラ用の子供であったのだ。
改めてそんな事実を思い出すと彼の指と舌で解れた穴も閉じ、風呂場の鍵を開けて出る頃には平素と変わらぬ身体に戻ってしまっていた。
きっと、恐らく、今でも自分は都合の良い穴なのだろう。
そう思うと今朝目覚めたばかりの頃のときめきが馬鹿の様だとまで思ってしまった。
「…生理にでもなったの?」
「そうです。だから飯食ったら帰って下さい。」
抗議の声を上げて勃起したままの竿を振り回すアイオロスを放置して、少し冷めた牛丼をシュラは食べ始めた。
それは少しほろ苦く、情けない味がした。
思ひ出☆ビンビン・<了>
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