西遊記の2





 魚介コンビがボケ倒す余裕すら見せるのに対し、普通の返ししか出来ない(しかも蟹にやや被されてる)弟は未だ聖域に慣れていないのかな、等と見当違いな心配をするサガの目の前で、今度は従者指定された三人が次々とシャカの念力に寄って服を破かれてゆく。

「うびゃあ!?」
「やめて!そのトラウマな叫び声!!」

アフロディーテの情けない叫び声とデスマスクの切実なツッコミに、またしてもカノンが元ネタが分からなくてポルナレフ状態になって居る間にシャカと同じく緊縛を施こされる。

「だから何で亀甲縛りなんだよ俺達まで!!」

一仕事終えたとばかりにイイ顔でDr/ペッパー(好物)を飲むシャカに三人は最もな疑問をぶつける。
が、またしても難解な答えが返って来た。

「仏契(ぶっちぎり)である。」
「…!! 解ったぞ!エピG繋がりでLC繋がりなやや昔のチャンピ/オン漫画か!!」
「遠いわ!マニアック過ぎるわ!!」

そんな訳で自戒の道を己どころか従者にまで施した自称三蔵法師玄奘は、旅支度は出来たとばかりに執務室を出て行く。

「サガ〜…、」
「知らん。お前等が行くと言ったんだろう。
明後日の勤務開始時間迄には帰って来ないと来月分の給料70パーカットするからな。」
「ちょ!? 今日締め日ッスよ!? 今迄の分…!」
「このケチ兄貴!ハゲろ!!」
「カノン…アンタ、小学生みたいな雑言を…、」

サガには助けて貰え無さそうだと悟った三人が諦めて、とりあえず各自宮に戻って服を着ようと執務室の扉を開けるとそこにはまたしても謎な光景が拡がっていた。

「この通りなのだ!しっぽも自主的に装着している!!」

そう叫びながらカミュがシャカの前で四つ這いになって、尻からしっぽ付きバイブ(馬タイプ)をはみ出させて居た。

「いらんと言っているだろう。従者は猿とカッパと豚で良いのだ!」
「しかし三蔵法師は馬に乗っているものなのだ!チョーさんも乗って居た!!」
「まさかアイツのソースはドリフ人形劇の方なのか!?」

カミュは偶々扉の前で先程の一幕を見て居たらしく、皆の緊縛姿に堪らなくなり馬志願をしてきたらしい。
そしてやっぱり斜め上なカミュは、西遊記と云えばそれしか知らん!とドヤ顔で言い切る。

その熱意に珍しくほだされたのか、ため息と共にシャカがカミュの同行を認める。

「仕方無い、分かった。
だが貴様はこれから私の馬だ!
服は着るな!常に私を乗せ四つん這いで移動するのだ!!」
「分かっ、「人語を喋るなこの駄馬が!!」

ぴしゃりと打ち付ける無慈悲な言葉と尻への平手打ちにカミュ、いや馬は歓喜の一声を上げるとシャカを乗せて走り出した。

「おい!ちょ、待てよ!!」
「似て無い!似て無いぞカノン!」
「つか、まず服だろ!お前等も待てって!」

斯くして全裸にしっぽバイブ装着の四つ這い男に跨る高僧風な男(でも服の中は亀甲縛り)に付き従う、全裸に亀甲縛りな従者達の一行は大事な親書を携えインドに向かって聖域を旅立った。

しかし下界へと通じる聖域の結界で外へ出して貰えず西遊記ごっこはたったの8分で終了したのであった。





西遊記(行き先は東だけど)・<了>





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