西遊記(行き先は東だけど)





「新教皇殿からくれぐれも直接、先方に手渡す様言われた書類を携えて任務に出る訳なのだが。」
「行って来れば良いじゃねぇか…。
まさかお前『一人じゃ行けないの』とか言わんべな?」

聖域のとある週末の気だるい午後、デスマスクとアフロディーテと双子兄弟が詰めていた執務室に、珍しい事に普段引きこもって居るシャカがそんな説明をしながらやって来た。

皆珍しいと思いつつも仕事がダルかったのでシャカに話の続きを促す。

「うむ。行き先が地元近くでな。
折角だから地元支援者どもから布施の徴収をして来ようと思ったのだ。
有り難がって涙にむせる愚民共の姿が目に浮かぶ様だ。
しかし弟子達(アニメ版の2人)は忙しい。
そこで、見栄えのする従者が三人程欲しいのだ。
君達で妥協してやるから来るが良い。」
「お前なぁ、それが人様に物事を頼む言い種かっつの!?」

他人には割と礼儀に関して煩い蟹が果敢にもシャカに突っ掛かってみせる。
だが、来る日も来る日も事務仕事ばかりで少々飽きていたアフロディーテは興味を示す。

「シャカの地元ってインドのどの辺なんだい?リゾート施設なんか近くにあるなら喜んで同行するよ?」
「それなら俺も付き合おう。海が近ければ尚良しなんだが…。」

(まさかあのモヒカンとも何か関係が…!?)等とカノクリカノなイメージが思わず頭を過り、魚介とサガがカノンのキャパの広さに感心していると

「よし、水辺が好きな沙悟浄よ、安心して我に付き従うが良い。
そこな蟹…じゃなくて猿と豚も来るが良い。」

と、勝手に謎のキャスティングし始めたシャカが服を脱ぎ始めた。

三人が何の事か分からずに唖然としていると何事か理解したサガが吹き出し、机に突っ伏して爆笑し始めた。

「な…何だ!?サガ、何を笑っているのだ貴様!」
「俺っPが蟹ってのは百歩譲ってまぁ良いとして何で猿…?」
「じゃあ豚って私か!『天と地の間に輝く美貌』て恥ずかしいキャッチフレーズな私をよくも…!」

三人三様に怒りはじめるが、シャカにはその怒りは届いていない様で遂に下着まで脱ぎ捨て神に最も近いヌードになってしまった。
更に、その男にしては白く、線の細い自らの裸体にどこから取り出したのか荒縄を巻き付けてゆく。

少し前に聖域で緊縛ブームを巻き起こした仕掛人の一人にして・縄を極めた若き縄師・瞬に直接教えを乞い(それでも金に物を云わせた高圧的態度のまま)縄の真髄を極め、緊縛の神と呼ばれる迄になったシャカにとって自縛等朝飯前だった様で見る見る内に縄化粧は施されてゆく。
そして見事な亀甲模様が咲いた身体にまた服を着直す。
その不可解な行動に思わず部外者なサガが口を出してしまう。

「シャカよ、何故服の下に縄を…。て云うか任務に赴くんだよなお前…?」
「そう、従者が意図せずに『カッパ・猿・豚』と揃った上にこの私!まるで西遊記では無いかね!?」
「!? ちょっと待て!誰がカッパ「誰が猿や!猿ゴルファープロや!」
「そうだ!誰がトンで★もブーリンや!!」







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