タマからダイオキシンの巻





 ある晴れた日。
今日も職務に勤しむべく聖域名物な白亜の階段をサガが登っていると獅子宮前でアイオリアとカミュが何やら言い争っていた。

「だからこの通り頼むと…」
「いいや断る!!」
「お前は氷河が不憫と思わないのか!?」

今にも取っ組み合いに発展しそうな勢いだと云うのに遠巻きに見物しているカミュの自称親友・ミロや、いつでも暇そうな魚介類達は呑気に見守っているだけで誰も諫め様としない。
サガもその様子を見て、緊急性は無いものの邪魔臭いから解散を呼び掛け様としたその時、丁度良い裁定役が来たとばかりにカミュが話を振って来た。

「サガ、聞いて来れ!! 私はリアに必殺技をかまして欲しいのだ!
それなのにこの頑固者は素直にプラズマってくれやしない!!」
「当り前だ!黄金同士は不可侵の規律を忘れたか!! それ以前に絶対無理だ!」

さっぱり訳が分からないので近くのデスマスクに説明させると、カミュがアイオリアにライトニングプラズマを所望しているらしい事は分かった。
だが、何故その様な事を望んでいるかと云うと、

「週刊誌で読んだのだ…。
雷に打たれたら性別が変わった女性の話を!! ならば私も変われる筈!そこで雷と云えば…!」
「だからと言って女性に成って弟子の、…その!!」

顔を真っ赤にし歯切れの悪いアイオリアの言葉を継いで今度はアフロディーテが続ける。

「氷河ちゃんに彼女が出来たって報告がカミュにあったんだって。
んで、女とやった事の無い氷河にレクチャーする為女になりたい、と。」
「筆下ろしは是非とも私が!
日本でも昔から云うではないか!『弘法筆を選ばず』と…!!」
「それ、そう云う意味じゃないから!」
「お前ちょいちょいそう云う小ネタ交えるよな…。」
「とにかく私を撃て!リア!! やってみなければ結果は分からないではないか!
1%でも可能性があるならそれに賭けるのが水瓶神拳!!」
「しかし…カミュは童貞では無かったか?女に変わったところで何が教えられるのだ?」

ミロも魚介類も思っていたが口には出さなかった事をサガが言ってしまい、カミュは動きを止めた。

「私は実は童貞では無いのだ…。」

童貞仲間と密かに思っていたカミュの言葉にアイオリアは髪が直毛になる程驚く。
アイオリアだけでは無くその場に居た全員が驚くのだが続く言葉にやはり全員納得した。

「氷河の初尻も初フェラもこの私だった!!」

それならアイオリアもシュラと経験済みなので非童貞になるな、と一瞬喜ぶが他の者達の『男はノーカウント』発言にスタートラインに戻されるカミュとアイオリアであった。

「そもそもカミュが万が一、女になってもカミュはカミュだろ。
氷河はそんなんで勃つのか?」
「むしろ勃たない氷河など氷河では無いのだ!
それに女と致して未経験で笑われたりしたら不憫でならない!!」
「性転換した師と交わる方が不憫では無いのか!?」

いつまでもボケと突っ込みの応酬が続くと思われたが急を要するカミュが実力行使に出た。







[ 77/100 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -