散文説明の2





「それでそのザマかよ教皇様。」

 深夜も過ぎ、後数時間で夜も明ける時間だと云うのにデスマスクは起きていて小腹を空かせたアイオロスを私邸に招いてくれた。

少し焦げた体に酒は沁みるが心地はよい。

「やっぱり正面きって聞けないよ。当時の雑兵長も居ないし…。」

「何人か未だ下っぱは教皇宮に居る筈だぜ?まぁ、普通の神経ならここから逃げるだろうけど…。」






 サガ達に聞いて回ったのはシュラの性感帯開発者ではなく、アイオリアに無体を働いた人間達の行方であった。

シュラと獅子宮の侍従達が常にアイオリアを見守っていても、やはり過ぎた聖域への忠誠心からなのか、または単に日常の捌け口としてなのか、逆賊の弟は聖域の全ての人間から何らかの謗りを受けていた。

それは時に言葉であったり、肉体への暴力だったり、性的な暴行であったり。

勿論アイオリアも黄金聖闘士として選ばれた身なので実害が及ぶ事は少なかったのだが。

「シュラに聞いてみろよ。自殺するぜ。当て付けがましく。」
「冗談じゃないよ〜。」

逆賊を討った英雄と呼ばれたシュラも、実はアイオロスを逆賊と認められない・認めたくない一部の者達に寄ってアイオリアと同じく様々な謗り等を受けていた様なのだ。

それはもっぱらシュラが偽教皇の正体を知ってからの話であったが。
恐らく自らに与えられた罰などと勝手に考えていたのだろう。
事実関係は本人が頑として語らないので周りの話からの推測でしかないのだが。

「デス達だって未だ…、」
「俺達は自分の信念の結果だ。アイオリア達と一緒にしないでくれる?」

いらぬ一言だったと目線で謝ると、アイオロスは戦利品のシュラのパンツをデスマスクに手渡し自宮へと戻って行った。

デスマスクはすこし湿ったパンツを弄びながらアイオロスについた嘘を思い出す。

実はシュラとデスマスクが全て処分したのだ。
アイオリアとシュラに手を出した奴等を。

アイオリアは知らない。
自分の為に聖域の墓地にすら弔われる事が無かった人間達が何人居るのかを。
シュラが浴びた奴等の返り血と精液はどれ程の量なのかを。
そして、兄がそれを知ろうとしている事すらアイオリアは知らない。

皆から愛されるアイオリアは何も知らずにこれからも兄に振り回され、魔鈴に蹴られ、偶にシュラを思い出して生きて行くのだろう。

自分には関係の無い話だとデスマスクは嘯きながらアイオロスが残した酒を飲み干した。

シュラのパンツは白いもっさりブリーフでクロッチ部分は歯形が付いていた。

「コレ何年前のだよ…」
と、デスマスクは弄んでいる内いつしか眠りに落ちた。









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