いつもの散文的説明





 アイオロスとアイオリアは深夜にも関わらず鍛練所で取っ組み合いをしていた。

新教皇になったアイオロスはそう簡単に黄金はおろか、下々の者達の目に付くべき場には出て来るものでは無く、ただひたすら女神の代理人として聖域の奥深くで政務を執行し、聖闘士達を導く存在…になった筈であった。

だが、女神が現世に降臨されて聖戦すら終わった世では教皇の権限なぞ生徒会の会長レベルとアイオロスは考えて、生前と変わらぬ黄金聖闘士の1人として振る舞っていた。

即ち・与えられた職務をこなし、時に世の為人の為平和を乱す敵と戦い、己に鍛練を科し、いついかなる時でも女神の為に戦える様に他の者達と共に切磋琢磨し…。

しかし矢張りと言うか「教皇とはこうであるべき」と、考える者達との衝突は常にあり日常となっていた。
アイオリアも兄の振舞いは兄としても、教皇としても許せない時が稀にあった。

それは常にシュラ関係の事であり、12宮での反乱劇以前にシュラと歪みきっていた関係を持っていたアイオリアにしてみれば複雑な思いも多少混ざっている物な訳で…。

「だから!! これは拾ったんだ!
どうしてこれがシュラの物だと分かる!?」
「名前が書いているだろうがぁぁぁッ!!」

パンツのウェスト部分に『シュラ』と書いてあるのはアイオリアの寝室にあるシュラのお泊りセットのパンツであった。

つまり兄は弟の寝室のタンスまで漁った事になる。

「雨に振られたからタオルを借りたんだ!
これってパンツだったんだ〜!!」
「待て!先程俺が帰宅した時に口に含んで味わっていたのは誰だッ!?」

とぼける兄に拳を繰り出し、兄はそれをいとも簡単に避けては挑発する様にシュラ話を続ける。

「シュラ、日本に行ってから変わったよな〜。地味さが抜けたって云うか、明るくなったって云うか!
聖域に戻ったら皆驚くんじゃないかな?」
「……っ!!」

 シュラが日本に行ってから1ヶ月程。
アイオリアは一度しか会っていない。
しかも口論までしてしまい、ちゃんとした挨拶さえしていない。

何とも昔と変わらない逢瀬を思い出してアイオリアは胸が一瞬傷んだ。
ついでに魔鈴のヒールに潰された息子の片玉も傷んだ(全治1週間かかった)

兄は新しい生活を営むシュラを知っているのだ。
アイオリアだけが兄が死んでからのシュラを知る様に。

それはアイオリアのプライドに障る痛みだった。

思わず無言になって考えるアイオリアに兄は真顔になって尋ねて来た。

「リア、サガにもデスにもディテにも聞いて回った事だ。
…お前にもいつか聞きたいと思っていた。」
「……?」
「シュラの性感帯開発したの誰?」

アイオリアは答える代わりに必殺技を繰り出していた。










[ 47/100 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]





第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -