衆道一直線





ここは冥界。
女神に反旗を翻し己の正義と信念を貫き、戦いの末に地に堕ちた元聖闘士達が次々と集められし地。
地上では残された者達が暫しの平和を謳歌している様であったが、こちらでも元聖闘士達が割と緩い生活を送っていた。



「おいサガよ、お主は違う地獄行きでは無いのか?」
「し、シオン様…、おはようございます!」

本当は黒い方の人格が・とか、クロノス大神に唆されて・とか、サガにも言い分は有ったがシオンを殺した事実には間違い無かったのでどうにも会う度にサガは気まずくなる。

「サガはここに居ちゃ駄目なんですか?」
「うむ。昔、童虎タンに聞いた事がある。」
「タンて…。」

 曰く──、日本には古来衆道と云う男色文化があり、その道を外れた者は衆道地獄と云う場所に堕ちると─。

「えッ!? そっち!?」
「サガなら…そうだな!」
「あぁ…!! ぴったりな地獄じゃねぇか!」

黒サガに散々弄ばれたデスマスクと、アイオロス殺しの共犯として手酷く扱われた記憶があるシュラは、狼狽えるサガを無視して大いに納得する。

「そんな!私にはサガしか居ないのに…!!
いつでもサガは優しかった!! デスやシュラは便器扱いだったとしてもそれは仕方が無い事だ!
だって蟹と山羊だからな!!」
「「誰が便器だ!!」」

サガは男色家だが道を外れる様なプレイはしていない!!
と、主張するアフロディーテと、自身にされた事を口にも出したくないシュラと
「それは魚が白サガとしか寝て無いからだ!!」
と、主張するデスマスクを横目に、カミュが衆道地獄を言い出したシオンに詳しく説明を求める。

《@幼い児童に手を出した者は逆さ吊りの上、熱く煮えた銅を肛門から注ぎ入れられたり、
Aまた己のパートナーが地獄の獄卒にすんごいプレイを強要されるのを見せつけられたり、
B他人の男を横取りした奴は好みの男と思って抱き付いたら全身から炎が出て焼かれるとか…》

「つまり…死んでも男色は治らない、と…」
「イヤ、なんか違う様な…。」

蟹と魚が取っ組み合いを始めたので、レフェリー役になったシュラがシオンとカミュとの会話にもレフェリー役を勤める。

「…私も生前、未だ幼い弟子達に性の素晴らしさを教え込みましたが、その衆道地獄に行けるのでしょうか…!?」






「て、事で聞きに来てみたぞ。どうなんじゃマン公。」
「だからその呼び方をやめろ…!それに貴様等には自由など無い!!
冥王ハーデス様の為に蘇り、女神の命を奪うと云う任務を努々忘れるな!!」

 元聖闘士達が冥界の雑兵達を蹴散らしマン公の執務室に乗り込んで来た。

何事かと緊張を漲らせた冥闘士達の前で開口一番が先程の話題の
「衆道地獄って気持ちイイの?」
だった為に、マン公は脱力し普通に怒るしか無かった。

そこへ

「駄目ですねぇ。普通の突っ込みしか出来ないなんて。」

と、銀髪で目を隠した男がダメ出しをしながら現れた。







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