劇的ビフォアあじゃぱー





 シュラが日本に逃げてから一週間弱。
アルデバランの元にムウが山の様に漫画本類を持ってやって来た。
内容はBLとエロと時代劇三昧でどれも日本の物であった。

「シュラからです。
日本語勉強に使用したとかで。
健全な少年漫画は貴鬼へ、少女漫画は私へ、エロ漫画系はミロへと言っていました。」
「しかしこんな物でも日本語勉強に使えるとは…!
俺達も直ぐにマスター出来そうだな!」

 とりあえずエロ漫画をパラパラと捲りながら笑うアルデバランを見ながらムウはある準備を始める。
手にしたのはごっついマニア向け専門誌やハードコアな成人男性向けなSMモノやスカトロ雑誌であった。
エロ漫画に興味津々なアルデバランは、鍛練で汗を流した後に金牛宮に立ち寄ったミロ達にもエロ漫画を勧めたりしてムウが出て行った事に気が付かなかった。






 回覧板的に漫画本を抱えてムウが双子宮へ持ってやってきた。

「…シュラは日本で一体何をやっているのだ…。」
「私に配達を頼んだ時は星矢達とヤクザゲームで盛り上がっていましたよ?」

沙織に《そのモミアゲはちょっと…》とダメ出しをされ、
警備部所属らしくされてしまった見た目も相まって、どう見てもマフィアにしか見えない男がヤクザゲームを真剣にプレイする様は大人でも夜泣きするレベルであったが、そこは触れないで珍しく二人揃った双子に本を手渡す。

「とりあえずお二人にはコレが良いんじゃないですかね?」
「?何だ?時代劇?
双子で…『ぬふぅ』……って、
オイィィィ!!(カノンは日本語読めた模様)」
「レッド繋がりですね!!」

カノンが投げ捨てたシグ/ルイ2巻を今度はサガが真剣になって見る。

「…我ら双子にも二人を相手にする嫁が必要なのか…?」
「何だそりゃ!? 俺はお前と穴兄弟にまでなりたくは無いぞ!?
まさかお前、マン公の穴を…!?」
「いらんわそんな物!!」

そんな訳で今日も始まった兄弟喧嘩をBGMにムウはデスマスクの私邸にやって来た。

が、門前払いをされ、何となく腹が立ったのでスカトロ雑誌のカラーピンナップをデスマスクの私邸の窓と云う窓に貼り付け獅子宮へと登る。

しかしこの宮の主も苦手なムウは、矢張りSMエロ漫画と鬼畜リョナイラストを何の断りも無しにアイオリアの私邸の窓と云う窓に貼り付けるとやり遂げた漢の顔で金牛宮へと戻って行ってしまった。
ムウは途中で飽きたのであった。






 獅子宮私邸内ではアイオリアが魔鈴相手にお茶などを嗜んでいた。

大告白大会以来何となく、元の付き合い方が出来ずギクシャクしていた二人であったが、やっと二人きりになれてアイオリアはいつになく緊張をしていた。

好きだという気持ちも上手く表現出来ない自分に腑甲斐なさを感じ、どうにも魔鈴の顔を直視出来ないのだ。

暫く部屋に無言の時が流れ、アイオリアは苦し紛れに窓に目を移すと外が急にうす暗くなった事に気が付いた。






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