カミュ汁話の4
「…初めまして…」
カミュの弟子@はしっかりとした子だった。
挨拶も茶も、こんな経緯でやって来た彼らにちゃんとしてくれる良い子である。
「それでアイザック、お前は精通したのに報告せず、挙げ句師である私の胸に一人ぶっかけ祭をしたのか?」
「は!?」
直球すぎるカミュの問いにアイザックは驚く。
当り前な対応に哀れに思ったミロが詳細を説明をしてやる。
「…ソレ、多分氷河の涙とヨダレかと…。」
「!! そうか!その可能性はすっかり頭の中に無かったな…。
しかしアイザックよ!
それは置いといて精通の方はどうなのだ!?
むしろそっちメインで知りたいのだ!!」
涙やヨダレでは無色透明だから母乳と間違えないのでは?と
悩むシュラをおいてカミュはあくまで精通話に食らいつく。
そして部外者二名の前で遂に真相は語られた。
「…カミュ、あの晩貴方は氷河を抱いたまま…その、
夢精をしていました…!あまりの大きな掛け声に目が覚めてしまい、思わず見てしまいましたスミマセン!!
あと、精通は未だです!」
「…夢精…私のだったのか…!」
アイザックの真っ赤になりながらの必死のカミングアウトにもカミュは思わず落胆を隠せない。
しかし指導者魂に火が点いたのか、直ぐに立ち直り弟子に向かい合いうといつもの修行のメニューの様に今後の方針を伝える。
「ならばアイザックよ!精通の備えに励むぞ!!
まずは保健体育だ!聖域に戻ってスライドフィルムを借りて…、」
また聖域に戻ろうとするカミュをシュラは必死で食い止める。
何とか忘れさせる為にシベリアくんだりまで来たのに、また黒サガを思い出されては困るのだ。
「か、カミュ!! そんな物より…え〜、アレだ!実践だ!!」
「!! そうか!そうだったな…!素晴らしい…!!
貴方はいつでも厳しい鍛練を実践していた…!」
シュラは保健体育に参加したがるミロと、訳の判っていない幼い弟子Aを連れて小屋を出る。
カミュを引き留める為とは云えあんな良い子だった弟子@を生け贄にした事に涙を流しながら。
そして聖域で蟹ミソを漏らさせてしまった蟹にも心の中で詫びながら、暫く旅に出る旨を聖域に打診しようと、とりあえず公衆電話に向かうのであった。
蟹汁とカミュ汁話・<了>
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