脱水素酵素話の2





 アフロディーテには無条件で欲情し、挿入したいと思えるのだが、シュラの様な男にしか見えない身体に欲情するはデスマスクも初めてだったのだ。






 シュラは今日初めて聖域の真実を知ってしまった。
ティターン神等と戦い抜き、漸く戻った聖域でシュラの前に立っていたのはアイオロスの女神拘引事件の真相を語りながらも己に忠誠を求めるサガであった。

二度も幻朧魔皇拳は効くまい、それ以前に二度も掛けたくないからと、一度シュラが技を受け心を壊してしまった経緯から全て話し、それでも尚、己の正義を語り『共犯者』と暗にシュラを言葉で縛り付けるサガの後ろに立ちながらデスマスクはシュラを見ていた。

「力を行使出来る存在を正義と認める」と言った自分に対し、サガはシュラもそうであったらば、と嘆いてみせた事を思い出しながら。

 こんなサガの釈明が果たしてどこまでシュラの正義に共鳴するのか、これでは只サガの断罪告白とシュラの諦観合戦ではないのか。

そう思っていると矢張り何もかもを諦めたシュラが『聖域』に忠誠を誓いサガには目もくれずその場を退出した。

 サガに命令された訳では無いが何となく酒を土産にシュラの私邸に向かうと、既にアフロディーテがシュラにスコーピオンデスロックを掛けながら酒をガボガボと飲ませていた。

それから飲み続け今に至る。



 シュラは相変わらず膝下で藻掻き指先の動きに一々反応を見せている。

「お前さぁ、アイオロスに尻使わしてたろ。
もう俺がやっちゃっても怨まれないよな?」

アイオロスの名前にも一々反応する身体に苦笑いしながら、質問に答えないシュラを俯せに固定すると一気に挿入の態勢にもって行くと興奮は絶頂に至る。

「あんまし前戯してねーから力抜くなよ?
粘膜巻き込んで俺が痛いから。
クソする時みたいにリキめよ?」

耳元で熱い息と共に囁くとそれだけでシュラの身体は強張った。



「シュラ、腹減ったんだけど冷凍庫に何にも無い。」

 カリが入りきって最奥まで一気に貫こうかと云う時に、トイレの入り口にアフロディーテが酒瓶を持ちながら立って居た。

 我に返ったシュラがジャンピングストーン的にデスマスクを蹴り飛ばし、肴を探しにキッチンへと逃げると、両膝に損傷を負って悶絶するデスマスクを見ながらアフロディーテが鼻で笑った。

「シュラはドMだけどお前もだな。」

「邪魔、しやがって…」

「何の話だ?
私は腹が減っただけだ。
夢も見ない程酒で眠らせてやろうと思ったのに。
二人だけで乳繰り合うとは…。」

どれに腹を立てているのか分からないアフロディーテにシュラが鮭トバとイカ徳利を見付けた旨を叫ぶ。

「オヤジの肴かよ」とアフロディーテが文句を垂れながら姿を消すと、デスマスクも騒ぐのを止めまた今日のサガを想う。

シュラはこれまでと変わらず辛気臭い顔で生きるだろう。

アフロディーテも自分も変わらずサガに忠誠を誓い、他の黄金達も何も知らずに任務を受け聖域を回して行くだろう。

シュラが真実を知った所で世界は変わらない事にサガは満足するのだろうか。

そんな事を考えているとまた胆汁が込み上げて来てデスマスクはトイレに顔を埋めて目を瞑った。

アイオロスの討伐が教皇の命令だろうとサガの命令だろうと、シュラにとって何も変わらないであろう事に満足しながら。




小宇宙と脱水素酵素話・<了>




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