3Pの2





 頼んでもいない二人のカミングアウトにその場に居た全員が落ち着きを取り戻した。

「すまない、二人共…。」
「イヤ、それは良いとしてアイオリアは一体何を…?」

あくまで放置のデスマスク(膝&靭帯損傷)に腰掛けながらシュラは考える。

 それに対し、ムウが聞いた噂話ですが、と話し始めてくれた。

「アイオリアは魔鈴とある一人の男との間で長年揺れていたそうですよ。」
「!!??」

正直身に覚えがあり過ぎる噂にまたもシュラは顔色を悪くする。

「…その男とは…」
「む…ムウ、」
「星矢だそうです。」
「……。」

 己の名が出なくて安堵して良いのか悪いのか更に悩み、遂に腹まで痛み始めシュラはトイレに逃げた。






 アルデバランは個室に挟まってしまっていた。

『…二週間前にもレスキューを呼んで扉を壊したからな…流石にまたとなると…イヤしかし、』

黒のビキニパンツを何とかズリ上げたセクシーポーズで悩んでいると、誰かが駆け足で隣に飛び込み唸り始めた。

余程酷いのかと心配し、あわよくば助けて貰おうとアルデバランが声を掛けようとしたその時、また扉が開き誰かが入って来た。

「…シュラ、もしかしてアイオリアの事が心配?それともお前達の仲がバレる事が心配?」
『!?』
「…両方。ついでにあなたが今朝出した精液が今頃腹に来た。馬みたいに出しやがって…。」
『?!!?』
「はは、ゴメン!でも後悔はしてない!何なら今からここで…」
「おやめなさい!!」

今、隣でハッテンされても困るし、こんな姿で盗み聞きしてしまうのも勘弁して欲しくてアルデバランは思わず叫んでしまった。

「!?」
「この声はアル?!居たの!?」

 扉越しに状況説明をすると二人が助けてくれる事となった。

しかし、細かい作業が苦手な3人にトイレの壁は脆過ぎた…。

結局破壊してしまった個室に下半身パンツのみで立つアルデバランを囲んで誰からともなく吹き出し、やがてそれは大爆笑となり、いつしか3人は目に涙を浮かべて笑いあっていた。

アイオリアが入口に呆然と立ち尽くして居る事に気が付くまで。

「あ、アイオリア!見てくれよコレ!」
「これじゃドリフだな!」
「いいからズボン履けよアルデバラン!」

顔を真っ赤にしながら笑う3人に対してアイオリアは未だ反応が無い。

この状況に既視感を覚えたシュラがアイオリアに声を掛けようとした瞬間

「さ、3Pだなんて!皆不潔だぁー!!」

と泣きながら飛び出して行ってしまった。

「さ…3P…。」

 廊下に居た文官達が何事かとトイレを覗くと、半勃ちの新教皇と下半身パンツ姿なアルデバランと泣いているシュラが破壊された個室を挟んで立ち尽くしていた。
3人は、今度は自分達が噂話の中心になるのか…と、がっくりと膝から崩れおちるのであった。




3P疑惑の説明・<了>






[ 15/100 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]





第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -