3P疑惑の説明





 その夜、夢に見たのは微妙な顔でこちらを見る双子兄弟とアフロディーテだった。

どこかでこんな場面見たな、と思ってたら兄とシュラが連れ立ってこちらに背を向けて居たのを見て慌てて追い掛ける。

幾ら走っても追い付かず二人の名前を叫んでも振り返ってくれない。

 兄は名を呼べばいつだって笑顔で応えてくれたのに。
 シュラも名を呼べば…。
ここでアイオリアはシュラの名前を人前で親しげに呼んだ事があったか思い出そうとする。
『シュラ!』
『てめェ!!』
『女神に忠誠厚き山羊座の聖闘士殿www』等々…。

いつだって心から親しみを籠めて名を呼ぶ事は無かった事に今更気が付き、如何に自分達の関係は歪んでいたのか、と呆然とした。
 身体を重ねる閨房でさえ名を呼ぶ声には労りや思慕の念とは遠く…だが、逆にシュラからは常に慈愛の音が混ざった物であった。

心地よく、時に己を鼓舞する、友であり兄であり、乳繰り合う時も、真面目な面でボケをかます声ですらアレで…。

 そんな事を思い出している内に飼い犬に身体中余す所無く舐められ、犬の涎臭い体を洗い流す為にようやく寝床から起きだした。






 既に日は中空を過ぎ日中で最も暑くなる時間帯であった。

汗と涎を流し、外に出てみると粘液らしき物がポリ袋に入って私邸入口のドアにブラ下がっていたのを見て思わず

「ちょ、イジメ格好悪い!!」

と昔を思い出して叫んでしまった。

 そういえば昔はよくこういった嫌がらせが(本日のは、カノンお手製の澱粉菓子?の善意のお裾分けなのだが)あって、その度に魔鈴や星矢が笑って無かった事にしてくれて…。

魔鈴…。

そこでアイオリアの思考は今度は魔鈴に移った。
常に冷静な真に戦士として才能に優れた、それでいてどこか女らしさが垣間見える鷲座の白銀聖闘士。

 正体不明の液体入り袋をブラ下げ遠くを見て溜息付く獅子座聖闘士は、前日の公開絶叫告白のインパクトもあってか道行く人々の噂話を更に炎上させた。





 アイオロスが出勤し早朝サガが温めた玉座に何も知らずに着席し、ミロ以下殆どの者達が笑いをこらえていた頃にはシュラの耳にもその噂は伝わっていた。

曰く、《獅子座のアイオリア様が己の出した精液を45gゴミ袋一杯にして鷲座の魔鈴に差出しプロポーズした》と。

『3日前に出してやった筈なのにそんなに溜って…イヤ、あいつなら出しかねん。しかしそんなプロポーズの仕方、誰に吹き込まれ…』

 ハッと周りを見回すとデスマスクと目が合い、訳の判らぬデスマスクはとりあえずシニカルないつもの笑顔で返してしまう。

「貴様かーッ!!蟹ーィッ!」
「何がだーッ!?」

飛び蹴りを躱すが足を取られドラゴンスクリューを食らい悶絶するデスマスクを無視して、アフロディーテがセコンドに付きながら一応シュラに止めに入って来た。

「シュラ、アイオリアに言ってやれよ!そんなにオナニーで出したら本番で薄くなるぞ!って。」
「け、結婚式に俺はどんな顔して出れば…!!」

更に混乱するシュラにアイオロスが抱き付き落ち着かせようとする。

「私は2gペットボトル一本分を一晩で精製出来るぞ!」
「私は1週間溜めに溜めて爆発寸前って時に一回でヤクルト一本分出た事があるぞ!!」
「カミュ、お前…ッ!」
「そのペットボトル何に使うんだ!?」






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