裸エプの2
ピタピタと立つアイオロスの足音を聞きながら、シュラは14歳の性欲の凄まじさを思い知った気がすると同時に、自分達もこうだったのか、と考えると今度は同僚達の顔が浮かんで来た。
女官の下着を被りバッファローゲームに興じるデスマスク(16歳)
雄叫びを上げる黒サガを玉座に縛り付けて跨るアフロディーテ(15歳)
「……。」
やはり十代の性欲はアレなのだと悟りの地に到達した時、赤毛の少年が脳裏で叫んだ。
『お前は俺が倒すんだからそれまで他の誰にもやられんなよ!』
彼の眩しい14歳時代を思い出していると、その彼の兄が頭を寄せて甘えて来た。
「シュラ、おしっこしたくなった。飲んでく、」
シュラは全てを言い終る前に浴槽の縁に頭を叩き付けてやった。
額をぱっくり割って血と涙を流しながら泣き喚くアイオロスを放置し、湯船で顔を洗うシュラの脳内では赤毛のアイオリアの美しく改竄された思い出が巡っていた。
因みに先程のアイオリアは実際は顔を真っ赤にし勃起を隠す為前屈しながら
「やられんなよ!」は勿論
「犯られんなよ!」の意味であったが。
思い出を払う様に湯から上がろうとするシュラは、不敵な笑顔のアイオロスに肩を押さえ付けられゆっくり浸かるように促された。
「…実はさっき殴られた拍子におしっこが出てな!今も出続けている!」
「放せェェェェ!!!!!!」
「さぁ!肩までお入りシュラ!」
「嫌だぁぁぁぁ!!!!!!」
「け…汚れた…!汚されてしまった…!」
「むッ!? 何かちんこ痒い!痒ッ!」
ガン泣きしながら身体を洗うシュラと、バスソープが駄目だったのかちんこを掻き毟るアイオロスが風呂場から出たのは昼過ぎになってからであった。
もうこんな身体では山羊座の聖衣は着られ無いと嘆くシュラに、エプロンで薬を塗った局部を隠した裸のアイオロスが笑顔で近寄る。
「また今夜、しよ?」
「…絶ッッ対嫌だ!」
「アイオリアに遠慮はいらないんだ。」
「そういう問題じゃ、」
「半分本心半分誤魔化しでも」
「?」
「アイオリアは引き下がれ無い。大好きだよ、シュラ。」
またこんなタイミングで「大好き」と言ってのける14歳に、『本当にこの人は変わらない』と呆れ笑いを溢す。
アイオロスの「大好き」と「愛してる」は挨拶みたいな物だと、痛い目に遭う程身に染みているのに。
どうしてこんなに心躍らされるのか。
シュラの苦笑いを了解と取ったのか、アイオロスはシュラの首筋にキスを落とし上機嫌で社長出勤すべく身支度を始めた。
シュラはアイオリアの告白を『半分本心半分誤魔化し』と受け取らず彼の本心だと思っている。
常にアイオリアとは本音で向き合って生きて来たからだ。
例えアイオリア自身が『半分本心半分誤魔化し』で言ったとしても。
そんな融通も駆け引きも気付かないシュラはぼんやりと裸エプロンで動き回る新教皇を眺めていた。
裸エプロン状況説明<了>
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