アイオリアの2
「サガ、立て。」
尚も名指しでシュラは畳み掛ける。
「性格悪ィぞー!山羊野郎!」
立っているのはシュラとカノン。
汚い野次を飛ばしながらアフロディーテは自分が椅子替りにしているサガを盗み見る。
「ディテ、心配するな。あれはシュラなりの心配りだ。」
尚もアフロディーテがサガに何事か言おうとするが、それを振り落としサガは車椅子ごとカノンが座っていた椅子に飛び乗った。
椅子on車椅子の絶妙なバランスを取るサガに驚き、座り損ねたカノンを尻目にシュラは空いていた椅子に余裕で座る。
「アフロディーテ、ここは俺に任せて貰おうか。」
任せるも何も、といったアフロディーテを抑えたカノンが掛け声を掛ける。
『アイオロス殺害に関わった奴!』
「「……ッ!!」」
顔色を更に悪くしたサガとシュラが再び立ち上がる。
が、僅かにシュラが先に着席をし今度はサガが鬼になる。
『…アイオロスの事が好きな奴!』
微妙な質問に対して微妙な顔で全員が立ち上がった。
「日和ったか!? サガ!」
「黙れ!女神の御前だぞ!断罪するのは好きにしろ!
だが空気を悪くするな!」
サガの車椅子の上に腰掛けながらシュラが口論を始める。
だがその時、おもむろにアイオリアが立ち上がって掛け声を掛ける。
『サガとシュラの事を好きな奴!』
妙な姿勢で喧嘩を始めた二人以外、これにはゲーム中の黄金以外にも女神や青銅達まで全員意を汲み立ち上がり笑顔を見せた。
「サガ、」
「……。」
「シュラ、もう良いだろう?」
「…アイオリア、俺は」
それまで黙って見物をしていた沙織が口を開いた。
「サガ、シュラ、貴方達は未だ懺悔し足りないとでも言うのですか?」
実はこのお楽しみ会の前に午前中一杯を使って、蘇った者達の感謝と懺悔の嵐を女神は一身に受け遂に、特に酷かったサガとシュラを尻バットで黙らせ強制終了させていたのだ。
それを思い出し尻を擦りながらそれでも二人はガッツを見せた。
「畏れながら女神、私は「次に何か謝ったら尻にニケを挿入します。」…ッ!!」
「しかし聖闘士してあるまじき「シュラ、段ボール聖闘士に任命しますよ?」…。」
二人を黙らせると女神は慈悲の小宇宙と共に「貴方達を信じています。」と締め聖域を去って行った。
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