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不死川先生と補習対象の元成績優秀者

単行本おまけページの情報を参考にしています
ボツネタのため急に終わります



私は今、17年間生きていた今までの人生で、冗談抜きでめちゃくちゃ焦っている。焦りすぎて、もうおでこから冷や汗がだらだら垂れてくるし、動悸と吐き気もする。
私の手には地獄、すなわち数学の補習の招待状が握られていた。



そう、あれは私が高等部1年生のころだ。中等部のときから数学が大の苦手で、高校の数学の先生は優しい人がいいな、と切実に願っていた。のだが。

「数学の不死川先生、めちゃ怖いらしいよ」

たかが噂。噂なんだから。そう言い聞かせていた努力も虚しく、私はその不死川先生の姿を高校生になって初めての数学の授業で見たとき、失神しそうになった。顔は傷だらけだし、目力凄すぎだし、髪の毛とげとげしてて刺さりそうだし。しまいには一年前、当時1年生だったある先輩が「数学なんか将来使わない」と言って不死川先生に殴り飛ばされたらしいのだ。
私は死にものぐるいで勉強した。幸い数学以外は勉強しなくてもそこそこ得意だったので、問題集がクタクタになるまで勉強した。宿題の答え合わせのときは自分が当てられないかいつもひやひやしていた。いざ当てられて答えを言った直後の変な間の居心地の悪さを私は忘れない。「おう、合ってるなァ」。その台詞を聞いてようやく私は解放されるのである。その甲斐あってか数学はいつもクラス一位。教科選択の時は理系を勧められたけど、もちろんそれに乗るはずがない。一年後、晴れて文系の高校生となった私は真の意味で不死川先生から逃れられたのだと信じていた。……信じていた。

「(補習……! これは予測してなかった!!)」

補習の日程と場所、そして担当教員「不死川実弥」と書かれたその紙は、まさに地獄への切符。
不死川先生が教科担任から外れた途端、私の数学の成績はみるみる落ちてゆき、ついにここまで来てしまったということだ。なんてこった。






おわり。まったく不死川先生を出せなかった。
単行本のおまけを見て勢いで書きました。
元々「何成績落としてんだてめェ!!」と不死川先生に叱られるやりとりが書きたかったのですが、単行本を読んでいたら「女子供には優しい」とのことで、このやりとりをさせるには厳しいかな? と思ってやめました。原作軸ならまだ書きやすかったのかも……。

2019.12.30

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