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フーゴと懐かしむ(没)

オチが決まらなくてボツになった話。そのためちょっと推敲が甘めなので文章がおかしいところがあるかもしれない。




僕の学生時代の同級生は皆歳上だった。だから彼らと友人になろうだなんてとてもじゃないが思えなかった。でも小学生のはじめのころは、僕は同い年の男女とともに教育を受けていた。あのときは誰もが純粋な心を持っていて、自分が飛び級をするという知らせを受けたときも妬みを持つ人間なんて先生くらいで。お祝いで食べたイチゴのケーキの味は今でも覚えている。唯一嫌な思い出といえば、初めてキレてしまった日のことだけだ。その対象は名前・名字といって、きっかけは些細なものだったし、彼女は気にもしていない様子だったけれど。だが普通に考えてそんなことはありえない。だって彼女は頭から出血していたのだから。結局一緒に仲良くケーキだって食べられたけれど、どうしても忘れられなかった。散々混乱した頭で謝り倒して許してもらえたはずなのに、罪悪感は消えなかった。彼女が大好きだったリンゴのジェラートを食べるといつも思い出してしまう。そのくせ毎回つい購入してしまうのだ。


「……名前?」

でも今日は違った。


「……もしかして、フーゴくん?」



明るい色合いのエプロンを来た名前の瞳は、向日葵のように綺麗に輝いていた。





「本当に久しぶりだなあ、何年ぶりだろう」

丁度彼女は他の誰かと交代する時間帯だったようで、容易に話す時間を取ることができた。なんでも、彼女は今僕と同じボローニャ大学に通っているらしい。

「一緒にイチゴのケーキ食べたよね。あのときね、フーゴくんちはすごくお金持ちだから、こんなケーキで喜んでくれるかなあってみんなドキドキしてたんだよ」

みんな、と言われても、当時覚えている同級生は名前くらいしかいない。あのときのケーキは多分一人で食べたらなんとも思わないだろう。でもあれはみんなで食べてこそ美味しいものだったのだと思う。

「よくそんなこと覚えてるな。もうとっくに忘れられたと思ってたよ」
「それはフーゴくんも同じでしょ」

名前は意地悪そうに笑って、その姿が昔と重なるように見えた。彼女は僕のことはあまり聞いてこなかった。時期は違えど同じ大学だから、もしかすると噂を聞いたのかもしれない。でもそんな彼女の様子を見て、僕はどこか安心していた。彼女は昔の話を懐かしむばかりで今のことはあまり話してこなかった。多分それはまた自分を怒らせてしまうことを恐れているからなのかもしれないが。





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