今度お墓参りに行くね
※一応の終わりみたいな
※原作後
※一応フーゴと再会している設定
──────────
ちょっと外の空気を吸いたいと不意に窓を開けたとき。心地良く髪を靡かせる風がカーテンを揺らす様を見ると、どうしようもなく泣きたくなってくる。しかしそれだけで終わらず、本当にぼろぼろ涙を零して情けなく泣いてしまうのが私なのだ。
アバッキオさん。ナランチャさん。……ブチャラティさん。
みんなお互いに敬称なんてつけてないのに、私だけ律儀に 「さん」 付けして呼んでたなあ。いっつも泣いてた私にため息ついたり、慰めたりしてくれたよなあ。私を引っぱたいたアバッキオさんの手、今思えばなんだか優しかったなあ。ナランチャさん、よく私のこと元気づけてくれたよなあ。……ブチャラティさんの私を撫でる手、あったかかったなあ。
考えれば考えるほど目頭が熱くなる。なのに涙で濡れる頬は風に晒されてひどく心地良かった。
「……最近泣く回数が少なくなったと思ったら、ここで泣いてたんですね」
聞こえたのはパタンとドアが閉まる音。ジョルノの声だった。
「……いつもね、ここでノスタルジーに浸ってるんだよ」
「……」
いつかのとき、ナランチャさんも同じようなことを言ってたっけ。呑気にしてるどころではない状況だったけれど、ぼんやりと覚えている。つつ、と窓の縁に溜まっていた埃をなぞった。指の先に溜まったそれが風に乗ってふわふわと外へと飛んでいく様子を見て、なぜか今だけはその埃が羨ましいと思った。
「もう戻ってこない人を想うなんでジョルノからしたら無駄かもしれないけど、できるなら私はずっとこうしていたい」
「……無駄だとは思いませんよ」
「え?」
「貴方はみんなのことを引きずっている訳ではなく、心の支えにしている……これは似ているようで違います。貴方の想い方は正しい」
私のそばに歩いてきたジョルノの髪が風で揺れた。日光に反射する金髪がすごく綺麗だった。
「一度この世界に入った以上足を洗うことは難しいし、どう足掻いても一生狙われる可能性が付きまとう。だから僕はほぼ強制的に貴方を組織に留まらせましたが、もし選ぶことが出来たとしたら、貴方は元の生活に戻りますか?」
ジョルノの緑色の瞳がじっと私の方を見つめる。散々汚い世界を見てきたはずなのに、それは透き通っていてまるで吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
「たぶん……いや、絶対、ここに残ってたと思う。もしブチャラティさんが生きてたら無理矢理にでも日本に送り返されるんだろうけど、今の私はジョルノ達と一緒に、死んだみんなの意志を受け継ぎたい……かな」
最後に自信がなく語尾を小さくしてしまった私にジョルノは目を丸くして、くすりと笑みを漏らした。
「……僕も、そんな気がします」
2019.2.24
※原作後
※一応フーゴと再会している設定
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ちょっと外の空気を吸いたいと不意に窓を開けたとき。心地良く髪を靡かせる風がカーテンを揺らす様を見ると、どうしようもなく泣きたくなってくる。しかしそれだけで終わらず、本当にぼろぼろ涙を零して情けなく泣いてしまうのが私なのだ。
アバッキオさん。ナランチャさん。……ブチャラティさん。
みんなお互いに敬称なんてつけてないのに、私だけ律儀に 「さん」 付けして呼んでたなあ。いっつも泣いてた私にため息ついたり、慰めたりしてくれたよなあ。私を引っぱたいたアバッキオさんの手、今思えばなんだか優しかったなあ。ナランチャさん、よく私のこと元気づけてくれたよなあ。……ブチャラティさんの私を撫でる手、あったかかったなあ。
考えれば考えるほど目頭が熱くなる。なのに涙で濡れる頬は風に晒されてひどく心地良かった。
「……最近泣く回数が少なくなったと思ったら、ここで泣いてたんですね」
聞こえたのはパタンとドアが閉まる音。ジョルノの声だった。
「……いつもね、ここでノスタルジーに浸ってるんだよ」
「……」
いつかのとき、ナランチャさんも同じようなことを言ってたっけ。呑気にしてるどころではない状況だったけれど、ぼんやりと覚えている。つつ、と窓の縁に溜まっていた埃をなぞった。指の先に溜まったそれが風に乗ってふわふわと外へと飛んでいく様子を見て、なぜか今だけはその埃が羨ましいと思った。
「もう戻ってこない人を想うなんでジョルノからしたら無駄かもしれないけど、できるなら私はずっとこうしていたい」
「……無駄だとは思いませんよ」
「え?」
「貴方はみんなのことを引きずっている訳ではなく、心の支えにしている……これは似ているようで違います。貴方の想い方は正しい」
私のそばに歩いてきたジョルノの髪が風で揺れた。日光に反射する金髪がすごく綺麗だった。
「一度この世界に入った以上足を洗うことは難しいし、どう足掻いても一生狙われる可能性が付きまとう。だから僕はほぼ強制的に貴方を組織に留まらせましたが、もし選ぶことが出来たとしたら、貴方は元の生活に戻りますか?」
ジョルノの緑色の瞳がじっと私の方を見つめる。散々汚い世界を見てきたはずなのに、それは透き通っていてまるで吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
「たぶん……いや、絶対、ここに残ってたと思う。もしブチャラティさんが生きてたら無理矢理にでも日本に送り返されるんだろうけど、今の私はジョルノ達と一緒に、死んだみんなの意志を受け継ぎたい……かな」
最後に自信がなく語尾を小さくしてしまった私にジョルノは目を丸くして、くすりと笑みを漏らした。
「……僕も、そんな気がします」
2019.2.24