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小話まとめ弐







出会った瞬間顔を覆っている布を無理矢理剥がされたときは本当にびっくりしたわ。貴方がそんなに鼻が良いことなんて知らなかったもの。それに、鬼殺隊にいるなんて考えもしなかった。昔いつもお庭の塀越しにお喋りしていた貴方に。ふふ、そうなの、私が才能ないみたいだからお父さんがすっごく怒ってね。今は吹っ切れてこうして鬼殺隊の方を影から支える仕事が出来て嬉しく思っているの。でもそれは貴方のおかげ。この組織に入ったのは気の毒な事情があるんだろうけど、こうしてお礼を言えて良かったわ。これからも頑張ってね。

箱入り娘の顔は傷だらけ/竈門炭治郎








「しのぶ様、実は私、カナエ様に会ったことがあるのです」 少しだけ目を見開いた彼女はなんとも言えないような表情をしていた。「貴方と同じくらいの妹がいる、と当時仰っていました。それがしのぶ様だと思うと、世間って結構狭いですよね。」 こんな私のくだらない話はしのぶ様にとっても思ったよりくだらないものだったようで、彼女はどこか安心したように顔を綻ばせた。

ここは思ったよりも平和だ/胡蝶しのぶ








顔を強ばらせる私とは違って、弟は興味津々だとでも言うように瞳を煌めかせた。よりにもよって時透くんに会うなんて。私は彼が苦手だ。いつもきっつい言葉しかぶつけないくせに、弟がかっこいい!と彼に向かってはしゃげば、にこりと微笑んで手を振っていたのだ。あ、ありえない。この里で戦ってるときに何があったの?

見た目に似合う性格/時透無一郎








いつか私も柱の刀を打ってみたい、と言うと、煉獄さんはなまえが打った刀を使う日が待ち遠しいな、と笑ってくれた。でも彼は私が刀を打てる年齢になる前に殉職してしまった。今更気づいたのだけど、私は柱の刀を打ちたいんじゃなくて、煉獄さんの刀を打ちたいと思っていたんだ。今度、鋼鐵塚さんに煉獄さんの刀の鍔を見せて貰いに行こうか。

それは炎のようだった/煉獄杏寿郎






相槌さえうてば相手は自分のことを信頼してくれる、と聞いてから、鬼になってもそれを行っていた。そんなことをしているうちに上弦の肆に気に入られてしまったのが運の尽きだった。私を守ってくれる代わりに、どんなに自分が不幸でかわいそうだったのかという話を延々と聞かされて、私は機械のように相槌を打つだけ。それも、精神が多少病んでも仕方がないくらいの。私が彼の話にひとつも共感していないという事実を彼が知ったら、私を永遠に痛めつけるのだろうか。

爺には興味無いの/半天狗











悲鳴嶼さん、と私が呼ぶと、この人は必ず嫌そうに眉を顰める。なぜだろうと毎回のように思うのだが、彼のことを知っている人といえば私の知っている中では御館様くらいしか思い当たる人がいない。かと言って御館様に聞くのも失礼にも程があるし。そんなある日、ひょんなことから彼は子供が苦手だということを聞いた。私は直ぐに行動に移した。 「悲鳴嶼さん! 私、貴方と同い年ですよ!」そのときのあの人の顔と言ったら、一生忘れられないだろう。

童顔にも程がある/悲鳴嶼行冥




2018.11.23



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