×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -






icon

看取られるSSまとめ その壱




ただ柱の方四人とかまぼこ組に看取られるだけ。小話まとめのような感じで書いてます。





なまえ、俺、君の分も頑張るから。
そう言って炭治郎はまだぬるい私の手を握った。ひどいなあ、まだちゃんと生きてるのに。でももう喉に力は入らないし、瞼を上げる体力もない。音だけが聞こえるって、とても悲しい。悲しくて悲しくて、でも涙は出なかった。

竈門炭治郎/




嘘でしょ嘘でしょなまえちゃん!!! 死なないで、死なないでよねえ、そんなに俺を心配してくれてる音を出すなら死なないでくれよ。こんなのってあんまりだ。だからこれが最後みたいに笑うなよ! 俺がこんなに泣きわめいている声だって聞こえているくせに!

我妻善逸/




ぺちぺちと肩を叩かれて、やっとの思いで瞼を開いた。伊之助だ。最後くらい眠るように死にたいのに、どうして起こしてくるかな。大丈夫かだって? そんなわけないでしょう、こんなに血が出てるんだから。ああ、肩を揺らさないでってば! ……そんなに悲しそうな顔をしないでよ。

嘴平伊之助/




不安そうに禰豆子ちゃんは私の顔を覗き込んだ。ごめんね、ごめんね。せっかく貴方に毒を分解してもらったのに、それ以外の傷が深すぎて、私きっと死んでしまうわ。でも、爛れを治してもらったおかげで顔は綺麗なまま死ねてちょっと嬉しい気もするの。だから、ありがとう。貴方はきっと嫌がるけど、禰豆子ちゃんになら喰われたって構わないわ。

竈門禰豆子/




まず開口一番に彼が言ったのは私を褒め称える言葉だった。よく頑張ったな。君の羽織に墨をこぼしてしまった隠に、君が親切に接しているのを見て、なんて優しい人なんだと思った、と。凄く嬉しいけど、どうしてそんなこと知ってるんですか。
木にもたれ掛かる私の体を彼が抱きしめてくれたとき、私はそのあたたかさに包まれるようにして死んだ。

煉獄杏寿郎/




頭から血を流す私を見たとき、彼は何も言わなかった。ただ手を握ってくれた。冷たくなる準備をしている体が僅かにまた温かくなった。もう片方の手で、頭を撫でてくれた。死んだ兄をふと思い出した。「頑張ったな」 みたいな言葉を掛けてはくれないけれど、そんな不器用な優しさを持つ貴方が好きだったんだよ。

冨岡義勇/




ぎゅう、と柔らかい体に包まれるのを感じた。ぼやけた視界の隅には、きれいな蝶の髪飾り。しのぶ様だ。目を開けたままこんな不細工な姿で死ぬなんて、そしてその光景を彼女に見られてしまうなんて、私は最後まで惨めなんだなあ。そう思っていると、彼女は私の瞼をゆっくりとその細い指で閉ざしてくれた。私の体は最後の力を振り絞るように、降ろされた瞼の隙間から涙を流した。

胡蝶しのぶ/




天元さま、奥さんいるのにいいんですか? と私はこの状況の中でそんなことを言った。だって最後に好きな人の腕の中で死ぬことができるなんて夢にも思わなかったんだもの。息を引き取る直前、「頑張ったな」 なんて言って貴方が子供をあやすみたいに私の背中を叩いてくれたことも。

宇髄天元/



2019.1.7


back