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キメツ学園風紀委員長!


中高一貫の私立学校、キメツ学園。俺が通う学校だ。ここには(本当に)個性的な生徒達しかいない、なんとも不思議な学園である。そしてこんなところで風紀委員の仕事を任されてしまった俺は、まあ当然のごとく生傷が耐えない。ある時は毬をぶつけられ、ある時は不細工だなんだと罵られ、またある時は教師に地毛を染めてこいと殴られ。

ただそんな俺にも、二つだけ楽しみがあった。一つは禰豆子ちゃんに会うこと。そしてもう一つは、


「……あっ、優里さん! おはようございます!」
「おはよう! 今日もよろしくね」


風紀委員長の天方優里さんとの挨拶運動と服装チェックだ。校内では影が薄くて目立たないけれど、とても綺麗な顔立ちをしている。そんな女の人を俺が見逃すはずはないのである。今日は運良く彼女と同じ当番に当たることができたのだ。彼女は高等部三年生であの胡蝶さんと同じフェンシング部所属。仲も良いらしい。いやー、可愛い子同士が仲良くしてる光景っていいよね!


「みんなおはよう!! 風紀委員は今日も校門前で挨拶運動をしているのか!! 感心だな!」
「あっ、煉獄先生、おはようございます」


沢山の生徒に囲まれながら出勤してきたのは、みんなの人気者、煉獄先生だ。ちょっと話を聞いてくれないこともあるけど、基本的にはとても良い先生である。

今正直に言うが、煉獄先生を囲む軍団にまぎれて炭治郎と伊之助がいたことには知らないふりをしたことは内緒だ。正直に言うと服装について注意するのは初めに言ったように怪我を負うこともあるとても危険な行為なのだ。優里さんに恥ずかしいところを見せる訳にはいかない。

「(誰が好んでそんなことするんだって話だよ……)」
「……我妻」
「ひゃいっ!?」


今日は無傷で済ましたいと願っていた俺の後ろから聞こえたのは、俺が最も嫌う男の音だった。

「(アッ終わった)」

体育教師 冨岡。厳しすぎて教育委員会が動くかもしれないとも言われている体罰アリアリの時代遅れ教師である。


「お前は今、竈門と嘴平を見逃したな?」
「えっ!? 、いやなんのことでしょう分かりません俺は何も」



「(優里さん助けて!)」


と彼女の方を見つめながらそれだけを願った。すると次の瞬間、熱烈な俺の視線に気づいたのか、なんと彼女はこちらの方を振り返ってくれたのだ! なんという奇跡だろう! これで今日は殴られずに済むぞ。

「あっ、冨岡先生、おはようございます」
「……おはよう天方。仕事は捗っているか」
「はい! おかげさまで」
「それはよかった」
「それよりも冨岡先生、私、しのぶちゃんに今日からフェンシング部の体育館の使用割合を大きくするように冨岡先生に頼んできてってお願いされたんです。だから……」
「……」
「や、やっぱり駄目ですよね?」
「……考えておく」
「!!、ありがとうございます!」



「(……えっ、なにこれ)」



二人からは苺のように甘酸っぱい香りがしそうな気がした。いや炭治郎なら確実にしている。なんで優里さんと冨岡先生はこんなに仲が良いんだ? 風紀委員つながり? いやでも俺冨岡先生のこんな音聞いたことねえよ?


「天方、今日は一限目体育だっただろう。早めに帰るといい」
「えっ、いいんですか!? ありがとうございます!……じゃあ善逸くん、先に失礼するね!」
「は、はい……」



このときの優里さんの笑顔は今まで見たこともないくらい輝いていた。贅沢を言うならば、俺がいちばん最初にこの笑顔を見たかったなあ。


「……さて我妻、お前はまず、」
「……」
「髪を黒くしてこい!!」
「おごぇっ」




風紀委員、我妻善逸。今日も無傷では済みませんでした。もう風紀委員を辞めたいです。



2019.5/14


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