×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -





SS二本詰め こっちはジョルノ視点



ナマエが死んだ。彼女の遺品の整理を頼んで帰ってきたフーゴの肩には、死んだはずの彼女の手が乗っていた。後ろを振り返ってもらうと、ちゃんと腕の先には胴体があって、頭もある。そして表情も。足だけが先端にかけて透けていた。なんとなく彼女のスタンドが死んでから発現するタイプだというのは予感していたが、まさかこんなに本人そっくりだとは。能力も相まってまるで守護霊だ。殺人兵器なんてとんでもない。あまりにも僕がフーゴの背中(正確にはそこにくっついている彼女なのだが)を凝視してしまっていたからか、彼は気まずそうに前髪を揺らした。


「彼女はどんな姿をしていますか?」
「……何も、変わってないよ」

お元気でしたか、と僕が訪ねると、彼女はゆるりとした笑顔を浮かべた。記憶喪失にでもなったんじゃないかってくらい、純粋で神秘的な笑顔だった。

「一度姿を見せてほしいとも言ったんですが、なかなか見せてくれないんですよね。彼女は目立ちたがりではないので、納得はしてるんですけど」
「じゃ、鏡に写せばいいじゃあないですか」
「えッ」

さっそく鏡を用意する僕に、フーゴはちょっとまってください、と僕の手を止めた。彼の髪には少し汗が滲んでいて、とても不安そうな表情で僕を見ている。

「ぼ、僕はナマエが嫌がることはしたくないんです」
「……ハハ、冗談だよ」

思ったよりも彼女と彼は焦っていたみたいだ。ほっとため息をつくフーゴの頬を、彼女の指が嬉しそうに撫でた。





────────
別パターン
こっちは短くて暗いです フーゴ視点





彼女の姿は僕からは見えない。どうやら背後にずっとくっついているようで、唯一触れられるのはその白い手と細い指、そしてそれらと方を繋ぐ腕だけ。いつもはそれは僕の肩を掴んでいるが、時折頬を撫でてくれる。一度姿を見せて欲しい、と言ったけれど、それもまた咎めるように彼女の指が僕の唇の表面を滑るだけだった。鏡に写そうとしてみたこともあったが、それはジョジョに止められた。

でも、彼女のスタンドがどんな姿をしているのかくらいは教えてくれてもいいんじゃあないですか。

「……生きていた頃のナマエそっくりの姿をしていますよ」

それなら嬉しい。きっと貴方は前みたいな優しい顔つきをしているのでしょうね。その優しい目がいつも僕のことを見てくれているんだとしたら、本当に喜び以外の何物でもない。そういえば彼女の顔はもう久しく見ていない。写真でも一緒に撮っておけばよかった。







(彼女のスタンド本体はその腕二本だけだなんてとても言えないな)


2019.1.10