稲GOss | ナノ




(天馬独白)





捻って、引きちぎられた。布を裂いたような、ビリビリと音を立てて、無理矢理離された未来にただただ呆然としながら堕ちていく。


「こんなのって、こんなのってないよっ!!」


嘆いたのはもう全てが終わった後だった。誰もが違う道を歩んでた。自分の知っている未来から反れて、バラバラに散っていく。あの子も、あの人も、あいつも、あなたも。
ブルブル身体が震えだす。怖い。理解が追い付かない。何が起きてるの?怖いよ。


「…剣城」


(今すぐ会いたい。会って、全部夢だよっておまえの口から言ってほしい)


(嘘。会いたくない。もしあの薄い唇から拒絶の言葉が吐かれた時を思うと恐ろしくなってしまう)


相反する気持ちが渦を巻いて、やはりそこから動けなくなった。動かなきゃ。嫌だ。動きたくないよ。擦り切れた胸がジリジリと熱を持って痛みを訴える。どうしよう。どうしよう。


「…助けてよ……っ」


緑のウサギが落っこちて、深い底で突っ立っていた俺の手を引き上げる迄あと少し。




(置いてきぼりの)
(つむじ風)





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