稲GOss | ナノ




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「茜→拓」
※襠様のみお持ち帰り可能です。




豊かで緩やかな髪が風で揺れる。凛と伸びた背筋、綺麗な首筋。あの人は美しいけれど、矢張り女の私には持たない、しっかりとした異性の体格をしている。一年前は性別の違いなど大差なかったというのに、寂しいわ、貴方は少しずつ少しずつ男の人になっていく。


「シン様、綺麗」


ずっと見てきたの。脇目も振らず、貴方だけを。小さな変化も見落とさず、膨らむ淡い想いと、少しの淋しさを抱えて、レンズの向こうからずっと、ずっと。

少しずつ霞んでいく深い茶色の瞳にだって気付いてた。貴方が現実の非情さと押し殺せずにいる希望に挟まれて、透明な涙を零していたこと。


(それでもずっと、見てきたの。見ていることしか出来なかったの。どんな姿の貴方も綺麗で、嗚呼、シン様、あなたはなんて残酷な人なのかしら)


美しさに怯えて、あなたに近付けないのです。臆病者な私は、こうやって遠くから貴方を見ているのが精一杯で、ねえ、これは本当に恋なのかしら。貴方の発する音の一つが、指先の一振りが、私を天国にも地獄にも導くのです。


「シン様」


「神様」


何も出来ず、貴方を見つめるだけの私をどうかお許し下さい。




(崇拝者)
(愛と信仰)
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