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(狩+輝)



これの続き。
※孤児輝くん引き取りパロ




生きる意味が見つからない。以前はあった。たった一人の肉親、ずっと1人で自分を育ててくれた母。細過ぎる腕で抱き締めてくれた。白い指で額を擽ってくれた。疲れた顔にはいつも笑みを浮かべて、「愛しているわ」と囁いてくれた。この人を守らなくては。幼ながらに決心した。それが唯一自分の生きる意味だった。

しかし、母はもういない。


「なぁ、あいつずっとお前の事見てない?」


狩屋くんに言われるままに視線をやると、瞳子さんと並んでいる男の人がこちらを見ていた。スラッとした身体に上品なスーツを纏い、どこか海外を匂わせるような、独特の形をした緑のサングラスを掛けている。薄茶色の髪は上の部分だけドレッドで、肩に流した髪は緩くウェーブがかかっている。


「知ってる奴?」


「…ううん。知らない人」


「またそのパターンかよ。前の奴もそうだったじゃんか」


以前。そう言われて思い当たるのは数週間前の事。同じように瞳子さんとやってきた金髪のとても綺麗な人。こんにちは。自分の身長に合わせるために屈んで微笑んだその人に、同性だと知りながらも頬が熱くなるのを止められなかった。
瞳子さんの知り合いみたいだし、悪い人ではないだろうけど、あの人も、そして今こちらを見る男の人も、視線は自分ではない何かを探っているように感じて、少しだけ居心地の悪さが生まれた。


「…怖い」


「は?」


「あの人たち、僕を見てるけど、僕の事見てない気がする」


「…はぁ」


理解できない、と目を細めてこちらを見ている狩屋くんに苦笑を浮かべると、瞳子さんが自分の名前を呼んだ。返事を返して、隣の男性に目を移しながら彼女のところに足を動かす。しかし、突然腕を捕まれ、振り替える。掴んだ当人の狩屋くんは、先ほどの自分と同じようにあの男性を見ながら、小さな声で言った。


「何言われても信じんなよ。大人なんて信用したら、馬鹿みるぜ」


言い終えると同時に、呆気なく彼は腕を放してどこかへ行ってしまった。狩屋くんの過去も、ここへ来た経緯も知らない。でも、ここに連れてこられたばかりの自分にぶっきらぼうながらも面倒を焼いてくれた。同年代だからというのもあるかもしれない。けれど、もっと何か違う理由から彼とは気が合うのだと思う。それは何故か。


(…類は友を呼ぶ。って言うのかな?)


先程の言葉からかいま見えた彼の過去に、矢張り自分たちは似ているのだと確信した。




(傷の舐めあい)
(ひとりぼっちの迷子)





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