堕天使に依存





どういうわけか私はクラスのある男に好かれていた。それはもう、近藤くんがお妙ちゃんを愛し、東城くんが九ちゃんを愛するならば、その次は、



「夢子〜、大好きでさァ」



沖田くんが私を愛するという、これは3年Z組の3大片想いカップルと他からは謳われている。近藤くんとお妙ちゃんや東城くんと九ちゃんっていうのはなんとなくお約束な気がするし、私だって以前までは微笑ましくその2組を眺めている側だった。そんなみんなと同じ視点からガラリと音をたてるように180度立場が変わったのは3年になってからだった。クラス替えがあり、ちょっと2年までエリートクラスだった私はその中だるみの時期にまんまと勉強以外の事にハマり羽を休めすぎたようで学年末の試験は赤点ギリギリ。そのような結果では駄目だと3年になってからはずっと格下のZ組に落とされた。そう、私は堕ちてきたのだ。最初私はこのクラスのみんなを敵視していた、「堕ちてきた」とか「元エリート」とか陰で言われていると勘違いして。でも逆だった。「新しい友達だ」とクラス中が純粋に喜んでくれたのだ。私はこのクラスの暖かさに感謝しきれなかった、しかし中には暖かすぎるってか暑苦しい!沖田総悟という人物が!



「なァなァ夢子は一体いつになったら俺の嫁になるんですかィ?」

「沖田くん暑いから。朝から暑いから、ちょっと離れてくんない?」

「あ、でも既に夢子は俺の嫁に違いないですけどねィ。」

「いいから、離れてくんない?それで私の半径1m以内に近寄らn

「俺もう18だし、結婚なら今すぐにでも出来るんですぜ?」

「聞けェェェエエ」




最近の彼の口癖は「学生結婚」や「お前は俺の嫁」など。毎日の行動が暑苦しすぎて溶けてしまいそうだ。だから彼のこの歪曲した愛情から無事生還することに必死な私には「元エリートだったのに堕落した」ということに関して落ち込む暇もなかった。



「授業なんか聞いてねーで俺の話を聞けーい」

「だって今授業中だよ?真面目に受けるのは当たり前でしょ」

「夫の言うことを聞かねーなら実力行使に移りやすけど、拒否権はなしで」

「ちょ、待っ!先生助けてェエエエ」



先生も先生だ。教師なら今強制的に連れ去られそうになっている生徒を全力で止めるのが筋。なのに助けを求めた私に向けて親指を向けて「グッドラック」と言ったのだ。頑張れってか!頑張れって言いたいのかお前は!てか何を頑張るの!先生もクラスも宛にならず下駄箱に連れてこられ、彼がいきなりキスをして言ったのだ。



「帰りやすよ、愛の巣へ」

「気持ちわる」

「気持ちわるって言うな。そんな反抗的な事言って、あとで泣かせますよ、いや啼かせやすよ?」

「ヤる気か!ヤらねーかんな!私は絶対ヤらねーかんなァアア」

「今更なに言ってんでさァ、その為に早退するんだろィ」

「欲求不満?欲求不満なのね?」

「当たり前でさァ、嫁を前にしてムラムラしないでいれるわけがない」

「まじ1回死んで?」




引き摺られて帰る午前の道。通常ならばまだ2時間目で授業を聞いているはずがこれも彼の度が過ぎる愛情のせいで…。「助けてェエエ」と騒いでも微笑ましいよキミタチと言うように周りの通行人は見ているだけで助けてあげますよオーラが一切感じ取れない。


「ちくしょー誰も助けてくれないじゃん!私が今からこの男に犯されそうになってるっていうのに!」



嗚呼、いつから日本は助け合いを忘れた国になってしまったんだろうか。まぁ落ち込んでいたら今の元気な私はいなかったわけだから沖田くんの過剰な愛情には助けられたわけだが。そう考えていると前を歩く沖田くんが足を止め、私を見た



「あ、今俺に惚れ直しただろィ」



この人、他人の心を透視できるのかよ。彼は末恐ろしい。一瞬ニッコリと笑った彼が今度は私を抱え、所謂お姫様だっこというものをして「好きでさァ」と道のド真ん中にも関わらず午前の雲一つない青空に向けて叫んだのだった






使


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20110227 13:47

捧げ夢って久々ァアア

いやどこかのサイト様と
相互する事自体が久々なので
なんか凄く緊張しました←

いい緊張感の中で沖田夢を
書かせていただいたんですが
リクエスト通りの甘に
なりましたでしょうか…?
一応気持ち悪いくらい
愛されヒロインを主張
してみたんですが(^^)
気に入っていただければ
幸いでございます○゚

改めて雛雨様相互感謝です



※お持ち帰りは雛雨様のみ



Thank you reading!
rena ayasaki








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