ゲームオーバー
夏。
「ぐあぁああ!死ぬなオキタァアア!」
「死んでねーよ。寧ろオメーが死ねよ」
水玉のタンクトップに下はジャージと言うシンプルすぎる服装で、扇風機の冷風を間近に受けながらテレビ画面に向かって叫ぶ私は只今戦闘ゲームにハマり中。
後ろの椅子に座りアイスをかじりながらボーッと見ている沖田をお構い無しに放置プレイし、私はゲームの中の『オキタ』を救出するので精一杯だ。
「っていうかそのプレイヤーに俺の名前付けんのやめろってあれだけ言っただろィ」
「だって似てたから」
「似てたから、じゃねーよ。しかもそのプレイヤー激弱じゃねーか。」
「弱いとことかクリソツ」
「ムカつく殺してェ。しかもクリソツとか今は死語だし。なんでィ、クリソツってだっせぇな。そっくりってちゃんと言えばいいのにー」
「わーわー騒がないで総ちゃん。毎日学校遅刻してることお姉様にチクるわよ」
「くっ…」
普段周りの人から沖田はドSだとか、誰も歯が立たない相手だとか言われているけど私からしたら沖田はまだまだですよ。幼馴染みだから色々弱味握ってるし、ホント幼馴染みって快適。
「ぜってぇコロス」
悔しげに呟いた沖田の声と共に、ゲーム上のオキタも息絶えた
ゲームオーバーになった途端、私は仰向けに倒れ込み大の字になった
「うっわ〜、まるでどっかのオヤジみてェだ」
軽く引き気味に私を見る沖田の目は、あれだけ悔しい思いをしても人を蔑む眼差しを辞めることはない
「色気もへったくれも無いねィ」
「それより、アイス溢してる」
「あ」
カーペットの上にポタリと落ちたアイス。沖田がすぐに拭き取らないからシミが出来てしまった、母さんに叱られたらお前の責任だかんな。
「さーて、もう一回戦だ」
「またやんのかよ」
言いながらまたコントローラーを握り締め画面に向かう私に呆れ果てた言葉を漏らした沖田
「せっかく俺が遊び相手してあげようと来たのに」
「それはご苦労様」
「このドSな俺様を放置プレイとはいい度胸でェ」
「沖田って俺様とか言うんだ」
「うるせーやい」
完璧に拗ねた声調の彼が椅子から降りた音がした。私は画面しか見ていないからこれは勘だが、きっと帰るのだろう
そう思った矢先だった。帰ったと思ってた沖田が背後から私をキツく抱き締めて、私の手からコントローラーを弾き飛ばした
「あ!」と一瞬叫んだ私は慌てて画面を見る。戦闘はまだ続いていて私がコントローラーを離した隙に相手に殺られかけている。どうにかしないと!と少し離れた場所に転がったコントローラーに手を伸ばしたが届かなかった
「オキタが…っ」
「……。」
「沖田、オキタが死ぬってば!」
「うるせェ俺だけを見てろィ!」
いつもより相当近い彼の声に不覚にもドキッとしてしまい、「あれ沖田ってこんなに美声だったっけ」なんて考えてしまう
それでもドーンという音がなり我に帰れば画面にはゲームオーバーという表示が出ていて、
「負けちゃったじゃん!」
「どうでもいい」
「てか暑苦しいって!いい加減離れろ!」
押し返して引き離そうとすれば男女の力の圧倒的な差を感じる。
ついに抵抗を諦めて彼に抱き締められたままテレビ画面を眺めている私に沖田が言う
「ゲームゲームってバカみたいに騒ぐんじゃねぇよ。それくらい俺を放置した罪は重いんでさァ」
「もー、暑苦…」
家の外から聞こえる蝉の鳴き声よりもはっきりと聞こえる沖田の声。それは当然彼の方が私の耳に近いからであって、耳元で言うのだった
「溶けて死んじまえ」
横から扇風機の冷風を浴びていても体の芯が熱かった
ゲームオーバー
と同時に始まったアイツへの恋
end
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20100612 19:08
このは様ァアアア
大変遅れてしまい申し訳ありません
キリリクの沖田夢です!
ほのぼのに仕上げたかっんですが
なんか毎回こうなってしまう…
駄文駄文で申し訳ないです(゚゚;)
キリリク有り難う御座いました
(2011062 修正)
Thank you reading!
ayasaki rena
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