「夢子、ごめんな」



屯所の総悟の自室。何日も布団に横になっている彼が消えそうな声で私に言った



「なんで総悟が謝るのよ」


一番苦しいハズの彼を少しでも癒してあげられるように、あははと明るく言ってみた




「ごめん。俺が…こんな身体で」


「……っ」



総悟は結核を患っていた。お姉様も生前、体が弱かったらしく兄弟だからと心配していた矢先の事だった。

それも早期発見ならばもっと治療法があったけど、忙しいとか言ってちゃんと定期検診受けなかったから完治は望めないほど悪化していた




「もう長くないって…」


「言っちゃダメだよ、そんな希望のない事。祈っ…」


「『祈ってれば必ず神様が助けてくれる』だろィ?」


「どうして分かったの?」


「夢子が毎日言ってる言葉じゃねーですかィ」




久々に見た総悟の小さな笑いが微笑ましくて、笑っている時は病に侵されていると感じさせない雰囲気を醸し出しているのだろうか。


しかし少し気を抜くと咳が出て、踞り、悪い日では吐血してしまう時もあった。




「今頃土方コノヤローはマヨでもすすってるんですかねィ」



総悟が私から少しでも哀しみを取り除こうと笑わせてくれた。そんなちょっとした気遣いも今ではなんだか切なくなってきて諦めたりはしてないけど寝たきりの総悟を見てると涙が止まらない。



「何泣いてんでェ、せっかくの美顔が台無しになりやすぜ」


俯いている私に下から見上げた彼は私の頬を軽くつねった。普通は涙を拭ってくれるんじゃないの?と思って笑ってしまう。それに安心したようで総悟も微笑みを見せた




「少し眠くなってきたから寝させてもらいまさァ。夢子悪いが出てってくんねぇかィ?」



薄く笑って言う総悟に私は素直に従って部屋を出ようと立ち上がった

それと同時に「ちょっと待って」と力の無い総悟の腕が私の裾を掴んだ




「口はダメでも、せめてオデコくらいなら大丈夫ですよねィ?」


「え…っ?」




引き寄せられたと同時におでこに総悟の唇があたった。じんわりとそこから熱が走る。



「最期にキスくらいは…、ねェ?」


「最期とか縁起が悪い事言わないの!言ったでしょ、神様が助けてくれるって」


「あ〜…そうだったねィ」


「じゃあまた暫くしたら来るね?お休み、総悟」


「愛してまさァ、夢子」




ニッと笑って私は廊下に出た。襖を閉めた瞬間に天に祈る。


総悟だけは…、総悟だけは連れていかないで。





「…ありがとう」



空に向かって両手を合わせていると小さな声が総悟の自室から聞こえてきて、まさかと思い急いで襖を開ける




「総悟…? …総悟!」




気持ち良さそうに眠っている総悟は既に呼吸を停止していた


『ありがとう』と聞こえたのは彼の最期の言葉で、彼がくれたキスは一生で最大の愛だった




「お昼寝してるの?また起きてくれないの?」



目を閉じている総悟の表情が何かから解放されたような顔をしていて、本当にただ眠っているみたいだった


それはまた今にも「嘘でさァ」と含み笑いをしながら起き上がりそうで…。





「どうして…、」



生前より彼はこんなにも晴れ晴れした表情なのに、今は死んでいる。ついに神は彼を連れて行ってしまった。




「…神様なんて、大嫌い」




燦々と日が差す襖が開いた室内で、結核という病との長い闘いを終えた総悟を抱き締めながら空を睨み上げた


神様は生き地獄に苦しんでいた総悟を極楽へ連れていく意味で助けて下さったとも知らずに、私は涙を流しながらただただ青い空を睨み続けた








end

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20100604 21:32

うわぁああああああ
スミマセン!本当にスミマセン!

泣ける話にしたくて書いてたら
ただのバッドエンドになってしまった
文才の無さは承知ですorz
てか死ねたムズい!!


スミマセン、この作品を
キリリクとして芽依様に
捧げたいと思います。







Thank you to reading!









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