「…やっぱり私も高校教師になれば良かったなー」



なんて晋助に言える訳もなく、抱き抱えていたぬいぐるみに小さく呟いた


晋助の職業は保健医。保健室にいる先生。もう卒業したけど私がまだこの高校の生徒だった時に一目惚れして通うようになったら自然に付き合っていて、気付けば付き合って2年が経っていた



高校3年生と言う社会人に一番近い存在でありながらそれ相応の頭脳を持っていなかった私は将来の事なんて考えてなくて、前に「一生養ってやる」って晋助が半プロポーズ的な事を言ってくれたから、「将来の夢は晋助のお嫁さん」なんて幼稚園児でも考え付くような子供っぽい夢を心の中に秘めていた



だから皆は卒業後、大学や専門学校に散らばったけど私はどこにも行かなかった

ずっと晋助の傍。




現に今だって、バイトが休みだから学校に卒業生として訪問して保健室にいる。


クマのぬいぐるみを抱きながら白いベッドに、ごろんとなっている私を見て晋助は笑った






「お前よォ、」


「お前じゃない」


「夢子さぁ、よくこんなとこに一日中いて平気だよな」



何かの書類を見ながら話す白衣姿の晋助を横目で見ながら「夫を見守るのは妻の勤めなのよ」と少し気取ってみる。「そーかよ」と晋助は喉を鳴らして楽しそうに笑っていた




ねぇ、晋助。

あなたは普段ここへ来る沢山の女子生徒達にもその笑顔を向けているの?

だとしたら危険。

まだまだ考えが子供な私はすぐに不安になるから…




「私が晋助と同じ保健の先生になってたらこんな想いしなくて済むのかな」


「ああ?呼んだかァ?」



晋助が振り向き、聞かれたらヤバいと思った私は咄嗟に「クマちゃん、どう思う?」とぬいぐるみに話し掛けているふりをした。




「仮に、おま…夢子が俺と同じ保健医になってたら、」


「聞こえてんじゃん」


「もっと酷く辛い想いするだろうよ」


「どして?」




書類を一旦机の上に置いた晋助が私のもとへ歩み寄り、隣に腰かけた



「各学校に保健医は1人しか必要ねェ、だから夢子が保健医になったとしても同じ場所で働けねーから意味ねェって事よ」


「そっかー」



どちらにしろ、私には心配や不安しか残らないわけか…。


ベッドに顔を伏せると晋助が私の頭に手を置いた




「心配するこたァねーよ。俺には夢子しか必要ねェからなァ、他の女は興味ねェ」


「ほんと?」



優しく笑い掛ける晋助に心の中で謝る。こんな子供みたいな我儘な彼女でごめんね、と。


それでも貴方は私を選んでくれる?





「今から俺が言う事、ちゃんと聞けよ?」



一度しか言わねェ、そう言われ私は晋助の方を向く。

すると彼は耳元で私に囁いた





『結婚、しようぜ』







fin

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20100525 01:27

銀華様!キリリク夢、
大変遅くなってしまい
申し訳ありませんでしたァアア

ちなみにこの短編の題名は
トリトニアの花言葉は調べたところ
『熱烈だが心配』と出たので
それに保健医と言えば白かな
と勝手に純白をプラスして
『純白トリトニア』になりました

ネーミングセンス皆無で
すみませんっ!





Thank you reading!

rena ayasaki










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