ちょっと借ります
「名前〜」
「あ、銀ちゃん!」
近くの団子屋で働いている名前。急に会いたくなって、いてもたってもいられず来ちまった
「どうしたの?」
「いや…」
"寂しくなった"なんて言ったら笑われるか?
「いや〜、アレだよ?アレ。俺定期的に甘いの食わないとアレじゃん?」
「銀ちゃん、目が泳いでる」
ふふっと笑いながら俺の顔を覗き込む彼女には嘘をついたってすぐ見透かされる。勘が鋭いし、ある意味恐ろしいヤツだ。もし浮気とかしたらすぐにバレちゃうヤツだ、まあ俺ァ浮気なんてしねーけど。
「ホントは会いたくなったから来た」
素直に薄情すれば「だと思った」とかニコニコしながら俺の頭を撫でた
「バイト何時まで?」
「う〜ん…あと1時間くらいかな」
「えー、1時間も待てねぇよ」
テーブルにぐだーっと突っ伏せた。よく考えればここは俺の家じゃなくて名前のバイト先。端から見ればイカれた彼氏だと思われてるかもな。ホラ、店長も店の影で睨んでるし。
「名前ちゃ−ん、仕事頼んでもいいかな」
「はーい」
店長に呼ばれ、小走りで行こうとする名前
「名前〜」
あのハゲ店長のヤロー俺たちの邪魔しやがって。ふざけんなコノヤロー!
「うー…」
うー…だの、あー…だの、テーブルにだらんとなりながら唸ってみるが心のモヤモヤは消えない。彼女の仕事場に来てうなだれるなんて名前に迷惑かけまくってるかもしんねぇ。けど、そんなの俺にはどうでもよくて
「名前っ」
「うわわっ!」
「店長ォ、ちょっと名前借りてきまーす」
君の手を引き走った
(ちょっと!銀ちゃん!?)
(名前、今から急遽デートな!)
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20091121 過去作品
綾咲恋菜
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