ミニスカポリス
全く隊長は困った人だ。
仕事はサボるし、腹黒だし、屯所抜け出すし、腹黒だし。
「なんであんな人が隊長に任命されたんだか…」
到底私には理解できない話。今日もこの3月の寒空の下、屯所を脱走した馬鹿隊長を連れ戻せとマヨラーから命令されて渋々外へ出た…が、
「ちょ、待って。なんで女隊士の隊服ってミニスカなの?今時ミニスカ?こんな寒いのにミニスカ?意味わかんねーよミニスカ!」
そうなのだ、女隊士の隊服は何故か年中ミニスカ。上は男女一緒なのに下は何故か皆と同じズボンじゃない。しかも履いているブーツも丈が短くて、とにかくスースーして寒い。こりゃ早くあの馬鹿を探しだして帰らなきゃ、凍死するのも時間の問題…なんて身震いをした瞬間に、
「おーい、そこのミニスカポリスー」
…馬鹿隊長だっ!
大体予想は付いたがまさか公園にいるとは思わなかった
「馬鹿t」
「誰が馬鹿隊長だってェ?」
女子にも容赦ない彼は言いかけた私に刀を向けた。両手を肩まで挙げて「すみません口が滑りました」と言うとようやく刀をしまった
「いい加減にして下さいよ、隊長」
「何が」
「脱走ですよ、おかげで毎回私が連れ戻すはめになってるんですから」
「んなもん山崎に頼めばいいじゃねーか」
「うわ悪魔だ」
その前にアンタが脱走やめれば解決する話だ!
「ホントこの時期に外出なんて寒いんですからね、死ぬとこでしたよ」
「そうかィ。じゃ、死ねィ」
ジャキ、
今度は私が刀を抜くと「冗談でさァ」と宥める隊長。
「大体こんな隊服嫌なんですよ、寒いし」
溜め息を吐くと白くなった。隊長がチラッとミニスカを見て笑う。
「これは世の性犯罪を防ぐための隊服を使った対策でさァ。だから耐えな」
隊長が私の太ももに手を置いた瞬間に今度は刀を隊長の首に当てる
「ふざけないで下さい、首かっ切りますよ」
「おいおい…。そんなことしたらアンタ豚小屋にぶちこまれるぜィ?」
「なんなら、あなたをセクハラで今すぐ豚小屋行きにしたいですよ」
ケラケラと呑気に笑っているアホ隊長。…全く溜め息が出る。この人と話していても意味がない。しかもどんどん時間が経つに連れて私の足が寒さで固まってきていた、その時
「熱っ!」
「足が寒いんだろィ?」
いつの間にか買ってきたおでんを私の太ももに置かれていた。しかも大根だから汁を吸っていて余計に熱い
「コンビニで買ってたんでィ」
尚も竹輪やはんぺんを置いてくるので、もうそれは熱いと言うより痛い。全部払いのけ、赤くなった右の太ももを擦りながらシャウトする
「罰ゲームしに来たんじゃ無いんですよ私は!」
「マジでか?」
「今初めて知ったような態度取るな!」
驚いた演技をする沖田隊長。演技にリアリティーがあって更に苛々する
「付き合いきれません。私先に帰りますからね」
「ちょ、待ちなせェ」
小さく溜め息を吐きながら立ち上がり歩き出すと、後ろから隊服の上着を掛けられた
「隊長…?」
「俺を迎えに来たせいで風邪引かれちゃァ敵わねェんでねィ」
ほら帰るぞ、とおでんを食べながら屯所へ向かう隊長。私が凍りそうなのは足なんだけどな、と一瞬思ったが薄く笑いすぐに後を追いかける
「やっぱ足寒い…。」
でも上着を掛けてくれた小さな気遣いが嬉しかった
ドS隊長の小さな優しさ
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作成日不明
沖田隊長のズレた
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