心、拐われました




放課後になり、皆がそれぞれ教室から出ていく私も帰ろうと席を立つと、ガシッと腕を掴まれた



「待てや、」


そう言ったのは後ろの席の高杉くん。

彼は外見は不良だけど、中身はなかなか良い人で…、


「名前、お前…まだ処女か?」


「……は?」



前言撤回します


外見も中身もダメ人間でした。



「離して下さい、変態」


「変態言うな、犯すぞアホ」



目を擦りながら言う彼は凄く眠そうな顔をしていて今まで寝ていたんだと思う。腕をブンブン振り回すが、全然離してくれない


そうこうしているうちに教室内の皆は全員いなくなってしまって、私達2人になった



「あの…帰りたいんだけど」


「待ってろ、俺も今帰る」



言うとすんなり離してくれて、高杉くんが席を立った



別に私達は付き合ってるとか、そういうんじゃなくて。


寧ろ私は彼を恐れているというか、あまり自分からは話し掛けないけど席替えをして近くなってから高杉くんが話し掛けてきて、それで仲良くなった



ふと、「名前」と高杉くんが話し出した



「お前いつも一人で帰ってんのか?」


「うん、そうだよ?」


「この道、人通り少ねぇーし暗いし危ねぇよ」



高杉くんがそう言い眉を潜めた



「もしかして心配してくれてるんですかぁ?」


なんて顔を覗きながら言うと「るせ−」とか言いながらデコピンされた



「こういう鈍感な奴が後ろから来てる誘拐犯とかに気付かなくて拉致られんだ」


「大丈夫だよ、私いざとなれば野生の勘が働くから」


「"野生の勘"ねェ」




その言葉を最後に声が聞こえなくなったと思ったら、隣を歩いていたハズの高杉くんの姿が無くなっていた



「え、ちょ…待って。もしかして、はぐれた?」


隣にいると下ネタ発言が多いし、無駄に大人な雰囲気を醸し出していて恐ろしい高杉くんも、いなくなってしまうと心細くなった



「さっきの曲がり角で、はぐれちゃったのかな−…」


すると、



「うひゃっ!」



いきなり背後から抱き締められ、もしや誘拐犯!?と思い騒ぎ出す私



「るせ−な、騒ぐんじゃねぇよ」


正体は…、


「高杉くん!?」


高杉くんと言う名の誘拐犯。



「あ−助けて−拉致られます−」


「黙れ、ここで襲うぞ」



抱き締められる力が強くなったので危機感を察知した私は口を閉じる



「野生の勘、全然働いてねーじゃんかよ」


「今はちょっと調子が悪かっただけで…」


「誘拐犯じゃなくて俺で良かったなァ、ククッ」



いや、誘拐犯より貴方のほうが恐いです…。



「よし、分かった。俺が毎日一緒に帰ってやる」


「本当に?」


「有り難く思えよ。その代わり…」




『俺と付き合えや、』




心をわれて、

(お巡りさ−ん、今この人に)
(私の心持ってかれました−)



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作成日不明


…高杉さん久々!







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