はれんち

C組のバカップルがラブホ行って見回りしてた教師に見つかったんだってさ!

噂というのは本当に流れるのが早く、そして事実無根である。けれども皮肉なものでその本当かどうかも分からない噂が毎日退屈な学生達にとって一つの楽しみになってしまう。

「へェ、C組のバカップルねぇ…。松田と和泉か」

噂を聞いてきた誰かがうちのクラスにも冒頭のように叫んでいったのを聞いていた銀時がコッペパンを頬張りながら言った。昼休みで教室中が各々の私的な話題でガヤガヤ盛り上がっていたのに、噂が入った途端にその話題でみんなの会話は持ちきりだ。「C組」という単語が渦を巻く。

「なにも、ラブホ行ってヤんなくてもいいじゃんねェ?」

そう言ったのはもぐもぐと食べている銀時の前髪を赤いシュシュで結んでいる私だ。「張り切りすぎだってーまっつん」とバカップルの彼氏のほうの名前を言って苦笑する。

「行ってみたかったんじゃねェ?学生ってそういうの好きだろ?」

銀時も学生じゃん。

「えー場所とかぶっちゃけ関係なくないっすかぁ?銀時くーん」
「じゃァ道端でヤれますかー?名前さーん?」
「道端は流石に論外でしょ。家とかさー」
「アイツらだって家が飽きたんだろうよ?」
「でも教師に見付かるとか史上最悪じゃない?逆に可哀想じゃない?もう恥ずかしくない?顔から火が出るどころかピーが出るね私だったら」
「ピーってなんだよピーって」
「ピーはピーだよ」


一瞬私達が沈黙に陥ると、他人が話している会話が必然的に耳に入ってくる。勿論それもその会話なんだけど。銀時がコッペパンの袋を丸く結びゴミ箱に向かって放り投げた。綺麗な放物線を描いたそれはちゃんとゴミ箱に落ちていった。それを確認してから銀時が「でもよォ、」と続ける

「一回は行ってみてェよな」
「は?イってみてェ?銀時、アンタ童貞だったの?てか童貞ってより自」
「銀さんの息子をナメんなバカヤロー」
「舐めたくもないよね。そんな糖尿寸前の人の舐めたらこっちまで糖尿なるわ」

銀時が無言で顔を机に突っ伏せた。あー泣いてる泣いてる。そう思いながら泣き止むまでまた周りの様子を伺うことにした女子たちのグループは「私の彼氏はねー」みたいな完璧なガールズトークになっている模様。一方、男子だらけのムサいグループからは「ラブホ」ばっかり聞こえてくる。最も、私と銀時の今の会話でも破廉恥な発言が多いのだが。多分他に話題もないし昼休みが終わるまでこの話は続くのだろう


「結局損するだけだったわけじゃんね」
「ああ?」
「家でなら腰砕けるまでヤり放題なのにわざわざラブホまで足運んで先生に捕まって。」
「バッカ、家だと後始末が面倒だろ?その点ラブホは…」
「どうなの?」
「どうだか」
「行ったことないんかい!」
「あるわけねーだろ!俺だってまだ学生だぜ?危ない橋は渡らねェ」
「ビビリ〜」
「違うっつーの!俺はそんな見付かるとかリスクを背負ってまでラブホ行きたいと思わないっつってんの!」
「さっきまで言ってたじゃん、行きたいと思うって」
「さっきはさっき、今は今ですゥ」


口を突きだして挑発的に言った銀時にウッザァ!と言いながら前髪のシュシュを勢いよく取るとブチンという音がして銀色の髪が5本くらいオマケで付いて来た。それを1本1本観察しながら床に落とす。

「あ、銀時の場合は一緒にラブホ行く人いないか」
「うっせェな!そう言うの言うんじゃねーよ、グサッと来るだろ」
「傷つきやすいのね」
「Sは打たれ弱いんだよ」
「早く彼女作れよヘタレ男」
「早く彼氏と別れろよアバズレ」
「ごめん無理なのよねーあはは」
「絶対俺にしといたほうがいいって」
「例えばー?」
「夜のテクニックは任せろ」
「だーかーら、糖尿うつるからイヤだって言ってんじゃん」
「違うって俺、糖尿寸前なんだって、糖尿じゃねーって、まだギリギリセーフだって」
「でも前に銀時と一発決めた子を見たけど太ってたし」
「知らねェよそれは、元から太ってたんじゃね」
「怪しい」
「怪しいってなんだよ!ったく信用しろよ、ガキの頃から一緒だったろ俺ら」
「ただの幼馴染みじゃんか」
「ただのじゃねーし、お前の裸を始めてみた男は俺だ」
「あー3歳の頃ね、てかその時の記憶なんて無いし、3歳の頃なんて裸って言える裸じゃないよね」
「早く俺んとこ来いってー、優しくシてやるからよォ」
「無理、今ラブラブだし」
「同じ男ばっかだと飽きるだろ、抱いてやるから来いよー、ラブホでもなんでも連れてってやっからさー」
「えー」



「あなたたち!」


その怒鳴り声に驚き二人はピタリと話を止めた。見れば二人以外の周り全員はもう席に付き、既に授業モードへと気持ちを切り替えているではないか。怒鳴り声をあげたオバサン先生は、顔を赤くした私と銀時に一言また怒鳴った。

「あなたたち、破廉恥よ!」


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20110508 04:38

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