「いいんだよ、気にしなくたって」

「うん。じゃ、お大事に」



先程パンチした件で私まで保健室に同行させられた。そう言ってくれたから帰ろうとするが坂田くんは私の腕を離さない



「このパンチは夢子の愛だと思ってるから、全然気にしなくていいからさ」

「あ、そうですか。じゃ、お大事に」



ドアへ向かって歩き始めたがまたもや坂田くんに止められた。



「あのさ坂田くん、言ってる事とやってる事が違うよ」

「ここ保健室だしベッドあるし折角だから一発ヤっちゃうか?」

「人の話聞いてた?」



セクハラの領域に頭が行くと話を聞かないのはいつもの事で、私は過去それに何回も悩まされたから今更どうもしない。それよりも私が顔面パンチしたせいなんだけど、鼻にティッシュを詰めてる坂田くんが可笑しくて…。



「何笑ってんだよ」

「だって鼻にティッシュとか小学生みたい」

「どうせこうなるなら夢子のパンツ見て興奮して鼻血出したかったよ」



含み笑いをした私に不機嫌そうに軽くそう発した坂田くん。私は「またか」と溜め息を吐いた。するとそれに対して「溜め息吐くと幸せが逃げてくぞ」と言われたから「あんたのせいだよ」と言い返した。



「坂田くんって本当に変な事しか考えないんだね」

「健全な男子はみんなそうだぜ?」

「嘘だ、私は信じない」

「でも俺だって普通の事考えたりもするんだからな、ここ勘違いしないよーに」

「例えばどんな?」

「甘い物が好きだからスイーツとかそこらへん」

「パフェとか?」



スイーツの話題には私も興味がある。意外に女の子みたいな趣味をしている坂田くんに少しだけ好感を持てた。



「うん、パフェとかパフェとか夢子の…」

「死ねェエエ」



バシーンとビンタをすると頬を押さえながら不適な笑みを浮かばせて坂田くんが言う



「夢子、今俺が何言おうとしてたか分かったの?」

「そりゃパフェにかまけてセクハラ発言を…」

「違うよ、俺は『パフェとかパフェとか夢子の作ったパフェとか』って言おうとしてたんだよ」



一気に私の顔が熱くなる



「勘違いにも程があるよ夢子ちゃん、変態だなァ」


「私は変態じゃないです!」

「夢子、はっずかしいねー」



必死に弁解をするが坂田くんは先程とは一変サディストな笑みを浮かべていた。が、私が冷酷とした表情で見た途端にドS坂田は一瞬にして崩壊する。それはトランプタワーをひと吹きで崩すくらいの単純さ。



「ごめん。ア、アレだよ!俺も一度はこう言うのしてみたかった的な?言葉攻め的な?」



あたふたと焦って弁解している坂田くんを尻目に私は保健室を退室した






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