「坂田くん」
「ん?」
翌日休み時間に坂田くんのところへ行きケーキを渡した。白い箱を見て「ナニコレ?」と呟いた坂田くん。
「ケーキ、作ったの」
「ケーキ!?夢子が?作ったの?これを!?」
「そ。あげるよ、昨日のお礼」
箱の中身を確認して嬉しそうにしている彼は一度食べようと手を近付けたが引っ込めた。あら珍しい。
「勿体無くて食えねぇよ。だってあのツンデレで有名な夢子ちゃんから貰った代物だぜ?」
「私ツンデレで有名じゃないんだけど」
「勿体無くてさ。一生大切に取っとくわ」
「いや、腐っちゃうから」
ド天然炸裂の発言をした天然パーマの坂田くん。箱を抱き締めている彼に「ケーキ潰れちゃうよ」と突っ込んでいると、いつもは妙ちゃんのストーカーをしている近藤くんが指を加えてこちらを見ていた。
「いいなぁ万事屋は恋が実って。」
「いや近藤くん?ただケーキあげただけだからね?実ってないからね?」
「とか言って実は俺が好きなんだろ?」
「坂田くんは黙ってて!」
「お妙さんなんてさ、俺が毎日プロポーズしてんのに往復ビンタをお見舞いしてくるんだよ」
「ケーキは貰えず、ビンタ貰いましたってか爆笑だな」
「坂田くん!人の不幸を馬鹿にしちゃダメだよ!ぷぷぷっ」
「夢子ちゃんも今笑ったよね!?」
「笑って…ぷふっ、笑ってないよ!あはははっ!」
「おもっくそ笑ってるじゃんか!」
もういいよ!と近藤くんが泣きながらどこかへ消えてしまい、気付けば坂田くんがケーキを食べている。
「うまい、これマジでうま…」
「銀ちゃんのケーキ、いただきアル!」
「ああああああ!!!」
一口だけ食べた後に感動していた坂田くんの前から一瞬にしてケーキが姿を消した。かと思えばそのケーキは神楽ちゃんの口の中に入った
「なにすんだ神楽ァァァ!吐き出せ!吐き出して土下座して詫びろ!」
「夢子、これ美味いアル。今度私にも作っておくれヨ」
「話を聞けェェェ!」
抱き付いて私の制服に顔を埋めて甘える神楽ちゃん。あらあら可愛らしいなー…って、口についた生クリームを私の制服で拭くなよ神楽ちゃん!
「夢子〜、銀さんにももう1個作って。ワンモアプリーズ?」
「あの…神楽ちゃんの場合は可愛いからいいけど、坂田くんの場合はセクハラ問題だよ?」
神楽ちゃんに揃って然り気無く坂田くんも私にギュギュギューっと抱き付いていた。
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