「よっ、サソリ」
「ぅわっ、…おい、いきなり後ろから抱きつくなって」
「ドキッてするから?」
「…どちらの意味でも屈辱だ」
「サソリ、はい」
「…?何だよ、この箱」
「サソリ…今日は何の日か分かるでしょ?」
「……ああ、オレの…」
「反応薄いなー、まだ子供なんだからもっと自分の誕生日を喜んでよ」
「うっせぇほっとけ」
「じゃ、はい。開けてみてよ」
「ん」
「……!お前、これ…」
「そっ、サソリが前から興味持ってた有名造形師のミニ人形!どこにも売ってない非売品だぞこれ」
「どうやってこんなの…」
「オレは、一里の長だよ」
(職権乱用かよ…)
「にしてもさ、サソリの嗜好が…オレにはさっぱり分からないんだけど」
「お前にはこの作品から漂う芸術的センスが理解出来ないんだな。お可哀想に」
「…あれ、何でオレそこまで言われないといけないんだろ」
「……ブツブツ…ブツブツ…」
「聞いちゃいないしね、たまにはオレの方もそのくらいまじまじと見つめて欲しいよ…」
「やっぱりこの独特のフォルムと個性的なセンスが絶妙だな。いつかオレも…こんな物を造り出してみてぇな……、風影!」
「んっ?」
「…ありがとうな、大事にする」
「ああ、どうしようか」
「…?」
「プレゼントなんてあげるんじゃなかった。今、人形に嫉妬してしまったよ」
「……馬鹿、そんなのしなくても…お前と人形は別……」
「なになに、サソリ?」
「う、うるせぇ!何でもねぇよ!」
「ふふ、誕生日…おめでとう」