「そいや旦那、傀儡は直りそうなのか?」

「いや、損傷が激しいからこれっぽっちの道具じゃ直すに直せねぇよ。…暫くヒルコで移動するか」

「えーーっ?そんなのヤダー!」

「しょうがねぇだろ…一番仕込みを積んでるヤツがそれしかねぇんだから」

「じゃあ、サソリの旦那はこのオイラが守る!」

「あ…?」

「旦那はオイラの傍から離れずに、そしたら旦那も守れてくっついていられて一石二鳥だっ、うん!」

「何でわざわざ自分の身を危険に晒す様な真似しないといけねぇんだ」

「えーーっ!?」


オイラ旦那を守れる自信すげーあるぜ?といくら吠えても、旦那はそっぽを向いて。
でも漸く、オレの顔に傷つけたら承知しねぇぜ?と首を傾げながら小さく笑ってくれた。これだから旦那は…、可愛くて反則だ。


たとえ過去に何があろうと、今…たった今この時、今を生きるこの時にこの人の一番傍にいるのは、誰でもないオイラだ。
誰にも邪魔出来ない、今はオイラだけの特等席。勿論、これからだってここを譲る気は一切合切ねーけどな。


元人間だろうが、今は人形と化したヤツに負ける訳にはいかねーんだ。
悪いけど、オイラと旦那の仲良い姿をそこでずっと見てるんだな!

…ま、オイラは決してなれない、死んでもならない“その場所”は、どうしようもないから譲ってやるけどよ。


しょうがないからなっ!





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