傀儡の整備の合間にひと息つこうと、リビングに足を踏み入れた時だった。
すぐ様視界に入った物は、金色の長い髪がよく目立つアイツ。
リビングにあるデカい黒革のソファで背もたれの上部に首を預け、マヌケ面でぐうすか寝てやがる。大きく口を開けたそこから今にも涎が垂れそうだ。

その至極幸せそうなマヌケ面にオレはイラッとした。それはもうただ単純に。何となく。直感的に。
オレは隙だらけの奴に近付き、後ろに回って改めて奴の寝顔をじっくりと窺う。
…駄目だ、何度見ても腹が立つ。
思わず奴の鼻を摘んでやった。
目の前のマヌケ面は息がし難いとかっかと喉を鳴らして大分苦しそうだ。つーか、いい加減起きやがれ。
流石に意識を取り戻し勢いよくソファから飛び上がり妙な奇声をリビング内に響かせた。

「っおああーーー!苦しっ苦しッ!な、何なんだァー!?」
「うるせぇー…」
「うおっ、サソリの旦那!もしかして、今オイラの鼻摘んでたのか、うん!」

せっかく気持ち良く寝てたのに、めちゃくちゃ苦しかったぞー、うん!そんな文句を垂れてくる。
ふん、大体お前が。

「マヌケ面で寝てやがるからいけねぇんだよ。阿呆」
「はあ?何その言い分…って旦那!まだ話は終わっちゃいねーぞ!?」


…寝てたいなら勝手に寝てろ、ばーか。知らねぇよ。



ちょっと我が儘なかまってちゃんだった旦那。
腹が立ったのは一人幸せそうにしてたからでしょう。

なんら脈絡のない日常、だけどそれが一番愛しい。






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