それからオイラは、赤砂の事を見る事をやめた。同じクラスだから不可抗力で視界に入れちまう事はあるけど、なるべく自分から見る事はやめる様気を付けた。

恋…だなんて認めてないのと自覚しているのとオイラの中では半分半分。赤砂を見なくなったからって、その無意識のうちに心に浮かべるあの気持ちは変わるはずもなく。
恋だっていう事実も否定しようとは思わない。だって、不可抗力で見てしまう度に胸が疼いて、その感情が更に膨らんでいっている気がするともう気が付いちまってるから。今更取り繕う事は出来ない。
だってオイラ、ウソつくの下手だからさ。


赤砂に恋心を抱いてる事に気が付いても、オイラはいつも通りの日々を過ごした。友達と変わりなく喋って、学校で勉強して。

ただ、もし…もしこの気持ちがいつか自分以外の人間と共有する事になったら。
オイラが赤砂に想いを伝える事になったら。その時は……。




夕方の西に傾く夕焼けに照らされる教室内に見えるは、いつぶりかに自ら視界へ入れるあの後ろ姿。
教室の外の後ろの扉から見えるそのシルエットに、オイラは心をざわつかせる。
落ち着け、落ち着け、深呼吸。
閉じていた目をゆっくり開くと、席を立ってるその姿に焦りを感じ、せっかく深呼吸をしたのに慌てふためいて勢いよく扉を開けちまった。



「赤、砂……」



久しぶりにその名を口にする。その名の人間がこちらを振り向く。

初めて言葉を交わしたあの時の様に、変わらずの鋭い視線をオイラへと向けて。



end





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