学校から帰り、散らかった部屋のベッドに寝転がって夕日が照らすも薄暗い夕方の天井を眺め見る。

家に帰っても暇になれば頭に出てくるのは、赤砂の事ばかり。どうしようもないくらいに赤砂の事が気になって仕方がなかった。
浅い呼吸を繰り返しながら、もう一度深く考えてみる。オイラはどう思っているのか、どうしたいのか。



オイラは赤砂の事をもっと良く知りたい。誕生日も血液型も知らないアイツの事。家族とか…彼女、とか。


「……!」


何だ、今、一瞬…。
胸の奥に何かが刺さる感覚がした。そこに石が積み重なっていく様な不快な気持ち、嫌で嫌でたまらない。
何を考えて?赤砂の事?…恋の、事?

そこに辿り着くと、それが正解だと表すかの様にズキンと心がひしめいた。思わずベッドから飛び起きる。

何でだ…?あの赤砂が、学校ではいつも無表情のアイツが、特別な人の前でしか見せない表情があるんじゃないかと想像するだけで、胸がザワザワして嫌で仕方なくなる。どうしてだ…?


「嘘…オイラ……」


嫌に呼吸が速くなる。
考えてみれば、オイラはどんなヤツにでも一声掛ければ友達になれていたが、恋が絡むとからっきしダメで…小学生や中学生の頃から恋の相手には消極的になっていた。どうしてもいつもの素直な自分が出せなくて、どもったり口数が少なくなったり。

そうだ、赤砂に抱く思いは…まるっきり…。でも、赤砂はどんなに綺麗な顔していても男だぞ?恋、なんて…まさか。
そこでまた新たに気付く。オイラは、赤砂の事が気になっているとしか思っていなかった。そう…一回も、



「友達になりたいなんて…思わなかった」



そう呟いた途端、目から吃驚するぐらいに涙が滝の様にドッと流れてきた。自分の意思とは裏腹に流れ続ける止まらない涙。
溢れるそれを拭って拭って、そうしているうちに何でこんなにも泣いているのかが解ってきちまった。

男を好きになるとか自分が思うなんて信じられなかった。だけどそれがもし恋なのだとしたら、オイラはどうすればいいんだ。
人一倍恋愛に不器用なオイラが、それを伝えるなんて出来る訳がない。相手は男で…赤砂で、オイラを見ようともしてくれない赤砂で…。
相談なんて誰にも出来なくて、味方は自分しかいなくて。答えが解らなくて頭がグチャグチャで。怖くて、もどかしくて、歯痒くて苦しくて。


「っ…ぅ、…うぅ……ッ!」


生まれてきた中で一番止め方の知らない涙。オイラはそれをどうする事も出来ず、ただ枕に顔を押しつけて嗚咽と潰れそうな心を押し殺すしかなかった。





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