彼の何処が好きと聞かれたらつま先から頭の中まで、恋って恐ろしいものだ、前が見えなくって何事も一直線。ぶつかったらめげずに立ち上がってまた前に向かって走りだすの、つまり恋する乙女は無敵。彼のためなら何でもしちゃうんだってさ。
オーブンから香るのはさっぱりとした印象のスコーン、お飾りには真っ赤ないちごジャム、ブルーベリージャム、それにアプリコットジャム。かじればサクサク音が鳴ってシンプルな焼き菓子を引き立てるにはもってこい。


「美味しそうだね」


背後から甘さが増すような声が聞こえて思わず体が震えた、すっと白い腕が伸びてスコーンがお皿から一つ消える、振り向いた時にはフィディオがぱくりと一口で頬張る。


「ん、美味しい」


ふわふわと何だか宙を舞ってる気がして、今の私の心はピンク色。ジャムを付けて食べると甘味が増すよともうひとつ誘えばフィディオはもうひとつ手に取った、スコーンが私の口元に近付いてきて、ちょんとくっ付いた。


『え、』


ぱくり、サクサクサク。そのまま、口にした。ただ呆然とその光景を目にしていると彼は笑顔で私の耳に響いた小さな言葉。







うん、甘みが増したよ














***

やばいな、これベッタベタ


100915



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