ふわっと二つに結われた長い髪が俺の横をすっと通った、風かのように。
そして背筋が伸びた後ろ姿を見たときにはもうシュートを打つ構えで大きな声で言う。


『いくよ!プラージ!』


地面を蹴って、あの俺と同じタイミング、ポーシングで足が上がる。


『オーディン、ソード!』


真っ直ぐゴールに向かって放たれたボールはしゅっと綺麗な音を鳴らしゴールに入る、プラージを破ったことになる光景。


「すごい上達したなぁ彼女」

『ふぅ、ありがと!』


あれから5日目、彼女はオーディンソードを完成させた。もちろんこれには教えた俺も驚いた、すごいな、と言うとフィディオの教え方上手だもん、と笑ってこたえた。


『でもね、フィディオみたいに軽く決めれないんだよね』

「そこは男女の差さ」

『うーん……』


眉間にシワを寄せて悩んでいる、そして私もフィディオみたいな体力があればなぁとへへっとはにかむ彼女。今だ、今言うべきだと自分の頭が命令する。


「彼女」

『ん?』

「お、俺が、さ…」

『うん?』


どきどきが半端ない、言葉が詰まって上手く喋れないしさっきまで動いていた頭の思考もシャットアウト。マルコがぷぷっと笑う中、反対にアンジェロは頑張れフィディオ!と小声で言ってくれている。


「まもっ、てあげ」

『あー!もうこんな時間!今日ママとおでかけなんだ、またねフィディオ!』

「あ……うん。」


呆然と立ち尽くしていると、後ろからジャンルカがぽんぽんと頭を撫でてくれた、アンジェロはもう無言だ。そしてチームメイト全員から慰めの言葉が降ってくる、ああ俺良いチームメイトを持ったものだ、笑っていたマルコは今日パスタ作ってやるよとの事、ああ俺って幸せ者なのかもしれない。

オーディンソード!と聞き慣れた声が遠くから聞こえた、うんこれは空耳だろう。そうと信じたい。










ねぇ俺を頼ってよ













***

なわけで
へたれフィディオくんでした

オーディンソードを
打ちたいのは
風音の願望だったりする。


100821




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -