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ゆさゆさと体が揺れてる、耳から流れるのは甘くて、優しくて聞き慣れた声。ああ分かった、朝なのだろう、そして今愛しい彼女が俺を起こそうと懸命に体を揺さぶっているに違いない、フィディオ、フィディオ、起きてってば!と何回も何回も。俺の肩に触れている細い手首を引っ張って彼女をベッドの中へ引きずり込み互いの顔が見えるように向き合わせる。慌てた彼女の声に笑みが浮かんだ。


『…起きてるなら、起きて』

「眠い、もん」

『遅刻しちゃうよ!』

「……休む」


ぎゅうううっと抱き締める力を強くした、もう流されてこのまま2人で眠りに尽きたい、この年になっても彼女が好きで、愛しくて、出来れば一緒に、離れたくないと思っているもんだから。そんな事を考えていても、だめだってば!と彼女がぺちぺちと頬を叩く音がする。


「分かった、起きるから」

『はい、じゃあ離して』

「キスして」

『……いやです』


いつになっても彼女はこう言うだけで顔を少し赤に染めて、下を向く。


「じゃあ休む」

『っ……分かった!』


ちゅう、と軽く唇に柔らかいものが当たる。キスした後の彼女の表情はとても可愛い、ふふっと笑ってしまったらばちん!と思いっきり頬を打たれた、半泣きで彼女は俺の腕から無理矢理すり抜け、木綿のシーツを剥いだ。

こんがりバケットの上には香ばしいバターにふわふわとしたスクランブルエッグ。甘いカプチーノが食卓にのっている、サラダのシーザードレッシングはやはり俺の中では1番を誇る。ハムとの相性は絶妙。


「美味しい、君の味がするね」

『私を食べたことなんてないでしょう…』

「え?あるよ?毎日、君を食べてるんだけどなぁ」

『ぶっ!…ごほっ、ばかフィディオ!』


何だろう、彼女の反応がとても面白くてたまらない。彼女のことをピュアだとかウブとかシャイって言うんだろうなぁ。まだカプチーノで咽せてる彼女にまた笑ってしまったらサラダを取られた、それだけはやめてほしかったが流石に本気でご立腹気味だから何も言わないでおいた。

玄関で運動靴を履くと必ず全ての持ち物を確認される、スパイク持った、やらスポーツドリンクは必ず忘れちゃだめだよ、とか。
弁当を渡される度にすごく気分上昇する、料理が得意な彼女だから今日は何が入ってるかどきどきする。彼女は言った、今日は一段と頑張ってみたんだ、試合に勝てるようにと笑顔で言った、ああもう本当に可愛い。

「じゃあ彼女、行ってくるね」

『うん』


「帰ったら、沢山癒やして」


俺はそう一言、見送ってくれている彼女の額にフレンチキスを落とした、した後の表情だって、ほらもう本当に可愛いなぁ。




「今日も1日頑張ろう」





***

企画大人な僕ら。様提出

のろけすぎなできたて夫婦



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