今日のオヤツはヒロトが作ったドーナツ。丸くて、中心に空洞がある古典的なお菓子。ふと中心の穴を見て私は思った。私の座っている前の席に座りながら一気に二個頬張ろうとしている本気馬鹿な晴矢をからかってやろうか、いつものお返しに。


『ねえ晴矢?』

「ふぁ?にゃんだよ」

『……ドーナツの穴は何であるか知ってる?』


私の疑問に考え込む晴矢
言葉に息詰まったのは、もちろん目の前の本気馬鹿のせいだ
考えてる、考えてる
普通にわかるでしょうが。
まあここで正解を言う程、晴矢は期待外れじゃないと分かってる。しばらくしてパッと表情が動いた、分かったのかな


「昔誰かがフラフープしようとしたからじゃね!?」

『昔だったら晴矢はフラフープするの?ドーナツで。』

「しないに決まってるじゃねーか」


じゃあ言うなよ。昔だったら何でもしていいって訳じゃないって


『知らないのか晴矢よ』

「お前は知ってんのか?」

『もちろんよ』

「何だよ?」


最後の言葉を晴矢は言った後、もう1つドーナツを口にする。私もドーナツを1つ手に持って穴を覗きながら


『私が晴矢をずーっと見るため!』

「ぶほっ…!!」

『汚いってばっ』


晴矢はベタな反応をして噎せていて、紅茶を口に含んだ後も苦しそうにに私を睨んだ。私は悪魔で笑顔を絶やさず晴矢を見ている。


「てめっ…誰のせいだと!」

『あははっ、冗談に決まってるじゃん』

「そういう事いきなり言うんじゃねえ!」

『いきなりじゃないなら良いんだ』

「どっちも同じだ!」






















***

ドーナツの穴は
火を通りやすくして
速く作れる様にしたんだぞ






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