「久しぶり!彼女!」
『ぎゃわっ!』
いきなり後ろから抱き着かれたため奇声をあげた。首だけ後ろに向けるとにこにこ悪気が全くなさそうに笑っているフィディオがいた。
『あのね、いきなり抱き着くのはやめて』
「なんで?」
『私は日本人なの!』
私が腕を離そうと抵抗したらフィディオは納得がいかなそうにしぶしぶと私を腕から解放した、こういう所はイタリア人なのか女の子が嫌がる事は早めに身を引くのだ。つまり紳士的。
「でもさ彼女、イタリア生まれじゃないか」
『イタリア生まれの日本人です』
「風流に慣れてくれないと困るよ」
『困りません』
「俺が困る」
なんだ、お前は、久しぶりに会って抱き着かれたと思えば鬼畜キャラになったのか。ハァと溜め息をついたら今度は前から抱き着かれた。本当スキンシップが激しい、慣れない。でも私だって、生まれた時から家がお隣さんで、イタリア語が苦手だった私のために日本語を勉強して私と会話できるように頑張ってくれたフィディオはとても感謝してるし、孤独感を消してくれた大切な人物だ。だからこそ、慣れなくても出来れば拒むことはしたくない。
「…会いたかった」
『うん、』
ぎゅうううと優しく抱き締められた、心臓の音が聞こえちゃいそう、どきどきよ止まれ。彼の甘い香りが鼻を擽る、外人は香水やらなんやらで匂いがキツくてあんまり好きじゃないんだけど彼の香りは心地よい、とても好きなの。
「俺、頑張るから彼女のために」
『うん』
フィディオはさっきから私の髪に顔を埋めてどんな表情か分からないけれど、真剣な声色。ぽんぽん、と頭を撫でると彼はいきなり顔を上げた
「日本とイタリア、どっち応援するの?」
『い……、えっと…どっちもかな…』
「じゃあ、どっちも応援する中で一番は俺自身を応援して」
ちゅっと軽く頬にキスされた後のジーっとフィディオの綺麗な青色の瞳が刺さるだめだ、私はやっぱり、会う度に
君が好きなんだ
***
100703