甘いのはあめ玉か、
『ぶんちゃん、今日は何の日か知ってる?』
「あったり前だろぃ!泣く子も黙るハロウィンだよな!」
『さすがぶんちゃん!その通りだよ!』
お菓子が大好きなぶんちゃんが、このお菓子イベントを忘れるわけがない!
そうふんだ私はにこにこ笑顔で両手をさっと差し出した。
「?」
『やだなあぶんちゃんてば。トリックオアトリート!』
「お前俺に菓子ねだるのかよぃ」
そう言いながらも、制服のポケットを探り、あめ玉をくれた。
『ありがとう!じゃ!』
「待てよ」
がしっと肩をつかまれる。
ぶんちゃんのことだ、彼も私にお菓子をねだるのだろう。
「俺にも言わせろよな」
『はい?』
「トリックオアトリート」
ぶんちゃんは顔を近づけてきて手を差し出した。
お菓子を渡さないとぶんちゃんにいたずらされてしまう。
でも私が持っているのは今もらったあめ玉だけ。
仕方なくそれをぶんちゃんの手にのせた。
「ちぇっいたずらさせてくれればよかったのに」
『いいでしょ別に』
「あ、良いこと考えた」
あめ玉の包装紙をとって自分の口に放り込んだかと思うと、唇を押し当てられた。
舌が入り込み、それと同時にあめ玉も転がってきた。
口いっぱいに甘いぶどうの味が広がる。
『ん、っ』
「甘いだろぃ?」
『いきなり何するの!びっくりするじゃん!』
「お菓子くれなかったからいたずらしてやったの」
『あげたよね私』
「何寝ぼけたこと言ってんだよ。あれは俺がなまえにあげたやつだろぃ?だからもらったことになんねーの」
くっ、なんて意地の悪い…!
憎んでいたらまた唇を奪われ、更に口の中で転がしていたあめ玉を奪われた。
「ん、あまーい」
『…///』
「ほしい?」
『い、いらないっ///』
「嘘つくなよなー」
私の言葉はむなしくも、ぶんちゃんの唇によって閉ざされた。
もちろんぶどうのあめ玉もやってくる。
お菓子あげたのに(彼は認めてないけど)いたずらされるのは癪にさわった。
けど、なんだか、ほんのちょっぴり、嬉しいいたずら。
「最後にあめ玉舐めきったほうの言うこと聞くってのはどうだ?」
『私不利だと思うんだけど!!』
*end*
―――――
ハッピーハロウィンでございます。
ぶどうのあめちゃんがブームなので小説内に持ち込みましたー